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佐和周のブログ

移転価格税制の基礎

第5回 TNMMにおける利益指標の選択 ②総費用営業利益率

前回は英語のお話を挟みましたが、その前には、TNMMにおける利益指標としての売上高営業利益率を確認しました。

 

取引単位営業利益法の利益指標

念のためですが、取引単位営業利益法については、その適用に係る利益指標として以下の3つがあり、どの利益指標を用いることが適切か検討する必要があります。

(1) 売上高営業利益率
(2) 総費用営業利益率
(3) 営業費用売上総利益率

(1)売上高営業利益率に基づく方法については、すでにお伝えしたので、今回は、(2)総費用営業利益率に基づく方法を見ていきます。

租税特別措置法上の定義(総費用営業利益率に基づく方法)

もう恒例になっており、皆さんも病みつきになっておられるかもしれないので、租税特別措置法(66の4②一ニ)及び租税特別措置法施行令(39の12⑧三)で、総費用営業利益率に基づく方法の定義を確認しておきます。

国外関連取引に係る棚卸資産の売手の購入、製造その他の行為による取得の原価の額(…「取得原価の額」…)に、イに掲げる金額にロに掲げる金額のハに掲げる金額に対する割合…を乗じて計算した金額及びイ(2)に掲げる金額の合計額を加算した金額をもつて当該国外関連取引の対価の額とする方法
イ 次に掲げる金額の合計額
(1) 当該取得原価の額
(2) 当該国外関連取引に係る棚卸資産の販売のために要した販売費及び一般管理費の額
ロ 当該比較対象取引に係る棚卸資産の販売による営業利益の額の合計額
ハ 当該比較対象取引に係る棚卸資産の販売による収入金額の合計額からロに掲げる金額を控除した金額

(注)下線部の割合について、「販売者が当該棚卸資産と同種又は類似の棚卸資産を非関連者に対して販売した取引(…「比較対象取引」…)と当該国外関連取引とが売手の果たす機能その他において差異がある場合には、その差異により生ずる割合の差につき必要な調整を加えた後の割合(その必要な調整を加えることができない場合であつて財務省令で定める場合に該当するときは、財務省令で定めるところにより計算した割合)」とされています。

ひょっとして、「売上高営業利益率に基づく方法」で慣れて、ちょっと解読しようとされましたか?

であれば、嬉しいことこの上ないです。そういう方はここから先を読んで頂く必要はないので、ぜひ上記の条文をゆっくりご堪能ください。

一般の方は、この定義を見るのはやめにしましょう。

ただ、定義の中に、総費用営業利益率らしきものが含まれていることだけ、ご確認ください。

「営業利益」の「収入-営業利益」に対する割合とあり、後者は「総費用=取得原価+販管費」に等しいので、結局は「営業利益÷総費用」で、総費用営業利益率です。

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総費用営業利益率に基づく方法を人間界の言葉で

この方法をもうちょっとわかりやすくいうと、「国外関連取引に係る棚卸資産等の売手(販売者側)の適正な営業利益の額を「比較対象取引に係る総費用営業利益率」を用いて計算し、その国外関連取引に係る独立企業間価格を算定する方法」です。

原価基準法(CP法)の営業利益バージョンといってもそんなに遠くないと思います。

比較対象取引も「同種または類似の棚卸資産を、非関連者からの購入、製造その他の行為により取得した者が、非関連者に対して販売した取引」だったりしますし。

上記の定義でも「国外関連取引に係る棚卸資産の売手」とありますが、この方法は、国外関連取引に係る棚卸資産等の売手が、営業費用 に反映されない機能(製造機能等)を有している場合に適切な方法とされています。

総費用営業利益率に基づく方法を使うのはどういうケースか

そのため、この利益指標を使うのは、シンプルにいうと、検証対象が製造(販売)会社の場合です。

言い方を変えると、総費用営業利益率の分母は総費用なので、総費用の数値に信頼性がなければなりません。ということは、国外関連取引の買手側ではダメです。なぜなら、仕入先は関連者だからです。

一方、国外関連取引の売手側であれば、仕入先は(たぶん)非関連者です。

海外の製造子会社を検証対象として取引単位営業利益法を適用する場合に、この総費用営業利益率を使うというのが、一番多いパターンだと思います。

日本親会社が海外子会社から仕入れて、第三者に販売するようなパターンです。

もう一度定義を考えてみる

ここまでくると、上記の定義も少し意味をなしてくると思います。

だいたい、以下のようなイメージです。

まず、総費用に総費用営業利益率を乗じて営業利益を計算
➡ 「取得原価+(営業利益+販管費)」で独立企業間価格を算定

国外関連取引に係る棚卸資産の売手を検証対象にしてるので、それで売値が計算される感じですね。

原価基準法の営業利益バージョンというイメージは伝わるでしょうか?

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反則だけどちょっと数値例で

あんまり私が数値例を出してしまうのはこのブログの趣旨に反するのですが、ここまでちょっとわかりづらいと思うので、簡単な数値例を出してみます。

まず、この図のような状況を想定してください。

 

この場合、総費用営業利益率に基づく取引単位営業利益法の適用は以下のような感じです。

比較対象の総費用営業利益率は5%
→検証対象である海外製造子会社の総費用営業利益率も5%であればよい
→海外製造子会社は仕入先などから80で仕入れ(製造原価を含む)、販管費20を負担している
→日本親会社への販売価格が105であれば、総費用営業利益率が5%になる
→105が独立企業間価格

上記の条文に沿って、別の言い方をすると、まず、総費用100(=80+20)に総費用営業利益率5%を乗じて営業利益5を計算し、その後、「取得原価80+(営業利益5+販管費20)」で独立企業間価格105を算定する感じです。

売上高営業利益率に比べると、総費用営業利益率は一般にメジャーな指標ではないですが、こうやってみると、そんなに難しくないですよね。

ちなみに、「総費用営業利益率の分母は総費用なので、総費用の数値に信頼性がなければならない」という話も上図から分かりますよね。国外関連取引の売手は、海外製造子会社ですが、その総費用は第三者に対するものになっています。

じゃあ、今日はこのあたりで。次回はちょっと英語のお話をして、その後、営業費用売上総利益率に基づく方法を見ていきます。

では、では。

■移転価格税制に関するトピックの一覧はこちら

 

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