会計英語⑪ 「取り崩す」を英語で
引き続き、「話すときに使いやすい会計英語シリーズ」です。
前回は「戻入する」をto reverseで表現しましたが、今回も同じような表現で、「取り崩す」です。
Table of Contents
1. 「取り崩す」を英語で
この「取り崩す」、英語でどう表現したらいいでしょうか?
答えは…
これもto reverseでいいと思います(手抜き)。
(Aを取り崩す)
なので、取り崩すのが引当金なら、以下のような感じですね。
(引当金を取り崩す)
to reverseは便利な表現
「戻入する」と同じですが、to reverseというのは、話すときには非常に便利な表現です。誰にでも理解できて、誤解も生じにくいので。
reverseは、一般的には「逆」(名詞)とか「逆の」(形容詞)という意味ですが、会計の世界ではよく動詞で使われます。意味合いとしては、「…を逆転させる」という感じでしょうか。
なので、いったん「計上した」何かを逆転させて「取り崩す」感じです。
2. 繰延税金資産を「取り崩す」を英語で
取り崩すのは、もちろん引当金でもいいのですが、日本企業がよく取り崩すのは繰延税金資産だと思います。
繰延税金資産についての「取り崩す」は、英語で何と言うでしょうか?
これは色々言い方があると思います。
(1) to reduceを使います
個人的には、to reduceを使って、以下のように表現することが多いです。
(繰延税金資産が取り崩される)
今気づいたのですが、圧倒的に受動態で表現することが多いですね。企業の場合、能動的に取り崩すのではなく、監査法人に言われて…いや、やめときます。
(2) to write downも見かけます
to write downを使って、以下のように表現する人もいますね。
(繰延税金資産が取り崩される)
to reverseでもいいのかもしれません。よくわからないですけど。
3. 「何を取り崩すか」で使い分け
「取り崩す」の例を見てもわかるとおり、1つの日本語に対応する英語の訳は1つではなく、「何を」取り崩すかにより、訳を変えるのが普通だと思います。
例えば、引当金は負債なので、to write downという表現は馴染みません(たぶん)。ということで、to reverseのほうがしっくりきます。
この点は逆もまた然りで(vice versa)、1つの英語表現に対応する日本語訳も1つではないです。
例えば、上記のto write downは必ず「取り崩す」と訳すわけでもないですよね。
この点は、次回考えていきたいと思います。
今日はここまでです。
では、では。
「Aを取り崩す」
➡ to reverse A
「引当金を取り崩す」
➡ to reverse a provision
「繰延税金資産を取り崩す」
➡ to reduce [write down] deferred tax assets
「(1) 単語を覚える → (2) 単語の組み合わせを覚える → (3) 英語を書く →(4) 英語で話す」の4段階に分けて、英語の勉強法(やオススメの書籍など)について書いています。
公認会計士が会計の英語を勉強したときの経過(4段階)
上記の段階に沿って、実際に私がどうやって英語の勉強をしてきたかを書いています。また、この記事の番外編では、「家出のドリッピー」的教材についても考察(?)しています。
佐和 周(公認会計士・税理士)
現 有限責任 あずさ監査法人、KPMG税理士法人を経て、佐和公認会計士事務所を開設。専門は海外子会社管理・財務DD・国際税務など。東京大学経済学部卒業、英国ケンブリッジ大学経営大学院(Cambridge Judge Business School) 首席修了 (MBA)。詳細なプロフィールはこちら。
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