インボイス制度:15日締めや20日締めの請求書の取扱い
引き続き、消費税のインボイス制度(適格請求書等保存方式)のことを書きます。
あんまり難しい話じゃなくて、研修の際に頂いたご質問(素朴な疑問)について。
Table of Contents
1. 15日締めや20日締めの請求書
今回は、「請求書が15日締めや20日締めの場合、何か問題がありますか?」というご質問です。
これについては、「特にないですけど、積上げ計算をするのであれば、それだけ気を付けてください」とお答えしました。
2. 課税期間をまたぐ適格請求書
ご質問は仕入税額のほうの話だったと記憶していますが、積上げ計算ということで、せっかくなので売上税額のほうも書いておきます。
(1) 売上税額の場合
まず、売上税額については、課税期間をまたぐ適格請求書(3月決算企業にとっての4月20日締めの請求書など)の場合、そのままでは積上げ計算をすることはできません。
積上げ計算をしたい場合には、「3月21日から3月31日まで」(今期分)と「4月1日から4月20日まで」(翌期分)に係る消費税額を区分して適格請求書に記載するなどの対応が必要になります。
これが注意すべき点です。
(2) 仕入税額の場合
一方、仕入税額のほうは、当課税期間に係る消費税額と翌課税期間に係る消費税額を分解するなどすれば、それを基に仕入税額の積上げ計算をすることは可能です。
交付を受けた適格請求書に、翌課税期間(上記の例では4月1日から4月20日まで)の消費税額も合計して記載されている場合でも、当課税期間(3月21日から3月31日まで)に係る消費税額と翌課税期間(4月1日から4月20日まで)に係る消費税額を算出し、それぞれの期間が含まれる課税期間においてそれぞれ積上げ計算をするということです。
3. 登録日である令和5年10月1日をまたぐ請求書
同じような話ですが、適格請求書発行事業者の登録日が制度開始日(令和5年10月1日)の場合、例えば、15日締めを前提とすると、その日をまたぐ請求書(例えば、令和5年9月16日から10月15日までの期間に係る請求書)は、登録日前後で区分するのが基本です。
ただ、実際には区分しなくても大丈夫なケースもあるので、そのあたりも考えながら、ということになります。興味がある方は、以下の記事をご参照ください。
今日はここまでです。
では、では。
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佐和 周(公認会計士・税理士)
現 有限責任 あずさ監査法人、KPMG税理士法人を経て、佐和公認会計士事務所を開設。専門は海外子会社管理・財務DD・国際税務など。東京大学経済学部卒業、英国ケンブリッジ大学経営大学院(Cambridge Judge Business School) 首席修了 (MBA)。詳細なプロフィールはこちら。