インボイス制度:公正取引委員会の注意事例で挙げられている業種・業界
消費税のインボイス制度(適格請求書等保存方式)について、ここ数か月の議論のアップデートです。
今回のテーマは、公正取引委員会が公表した「インボイス制度の実施に関連した注意事例」です。
Table of Contents
1. インボイス制度の実施に関連した注意事例について
公正取引委員会は、2023年5月に「インボイス制度の実施に関連した注意事例について」という文書を公表しています。
内容としては、独占禁止法違反につながるおそれのある事例が確認されたというお話で、違反行為の未然防止の観点から、それが公表されたという流れです。
「どういう業界の発注事業者と免税事業者との間でそういう事例が発生したか」という点も公表されており、個人的に(少しだけ)関心を持ちました。
2. 注意事例で挙げられた事業者の業態
事例としては、取引先の免税事業者に対し、「インボイス制度の実施後も課税事業者に転換せず、免税事業者を選択する場合には、消費税相当額を取引価格から引き下げる」と文書で伝えるなど、一方的に通告を行った等の一般的な(?)ものです。
具体的な業界としては、公正取引委員会として、以下の発注事業者に対し、独占禁止法違反行為の未然防止の観点から注意を行ったことが公表されています。
・イラスト制作業者(イラストレーター)
・農産物加工品製造販売業者(農家)
・ハンドメイドショップ運営事業者(ハンドメイド作家)
・人材派遣業者(翻訳者・通訳者)
・電子漫画配信取次サービス業者(漫画作家)
クリエイターというか、フリーランスというか、そういう方々の多い業界で問題になっている(あるいは、問題が顕在化している)という感じなんでしょうか。
3. その他の内容
その他、同文書では、事例を踏まえた独占禁止法・下請法上の考え方が示されています。
だいたい「免税事業者及びその取引先のインボイス制度への対応に関するQ&A」に書いてある内容だと思いますが。
今日はここまでです。
では、では。
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佐和 周(公認会計士・税理士)
現 有限責任 あずさ監査法人、KPMG税理士法人を経て、佐和公認会計士事務所を開設。専門は海外子会社管理・財務DD・国際税務など。東京大学経済学部卒業、英国ケンブリッジ大学経営大学院(Cambridge Judge Business School) 首席修了 (MBA)。詳細なプロフィールはこちら。