インボイス制度:国税庁ウェブサイトからの公表情報ダウンロードは一時的に停止
ちょっと気になるニュースがあったので、サラッと書きます。
Table of Contents
1. 国税庁からのお知らせ:ダウンロードページの一時閉鎖
国税庁が今日(2022年9月22日)、以下の「お知らせ」を出しました。
この件、国税庁は覚悟を決めているんだと思っていたのですが、そんなに決めていなかったようで(笑えない)、今後の動向が気になります。
以下で少しだけ整理します。
2. 適格請求書発行事業者公表サイト
まず、以下の記事に書いたとおり、インボイスにおける適格請求書発行事業者の情報は、「国税庁適格請求書発行事業者公表サイト」において公表されています。
3. 登録番号による検索機能
国税庁の公表サイトでは、登録番号による検索機能があって(その他、Web-API機能も)、以下のような画面で登録番号をもとに検索すると、「国税 太郎」などの名前が出ます(←国税庁のサイトはだいたいこの名前)。登録していれば、ですけど。
この検索機能などを使えば、もらった請求書の発行者が適格請求書発行事業者かどうか(登録しているかどうか)を確認できるということです。
4. 公表されている情報
上記の記事に書きましたが、この適格請求書発行事業者公表サイトにおける具体的な公表情報は、「(1)法定の公表事項」と「(2)本人の申し出に基づき追加で公表できる事項」に分かれています。
個人事業者の場合、屋号は(2)に含まれるので、公表する・しないは自由です。一方、(適格請求書発行事業者の)氏名は(1)に含まれるので、登録すれば公表されます。
5. データダウンロード機能
まあ、これは制度としては必要なことなのかもしれません。
ただ、国税庁の公表サイトには、もう1つ、データダウンロード機能というものがあって、適格請求書発行事業者の公表情報のデータ(前月末時点に公表しているデータ)をダウンロードすることが可能です(でした)。
これ、私は使っていないのですが、全件データファイルということで、すごいなと思っていました(朝日新聞デジタルによると、一括でダウンロード可能だった個人事業主の名前や登録番号は約20万件あったそうです)。
6. ダウンロードページの一時閉鎖
が、この「公表情報ダウンロード」のページには、今日から「令和4年9月22日から一時的に提供を見合わせています。」という表示が出ており、これが上記の「ダウンロードページの一時閉鎖について」のお知らせの内容です。
朝日新聞デジタルの記事だと、国税庁がダウンロード・ファイルで公表する情報を見直すみたいな内容が書いてありますが、どういうふうに見直すんでしょうね。見直しで「身バレ懸念」に対応できるとは思えないのですが。。。まあ、私はよくわからないですけど。
ということで、インボイスのことは忘れて、よい3連休をお過ごしください。
と思ったのですが、続きは以下の記事でどうぞ。私はもう休みます。
インボイス制度:国税庁の公表サイトによる「身バレ」(本名バレ)問題
では、では。
↓インボイス制度に関するオススメの書籍です(私の本ではないです。制度開始後の6訂版です。「決定版」らしいです。3訂版の紹介記事はこちら)。
6訂版 Q&Aでよくわかる消費税インボイス対応要点ナビ【決定版】(Amazon)
↓インボイス制度をカバーした『海外取引の経理実務 ケース50』の3訂版です(私の本です。紹介記事はこちら)。
これだけは押さえておこう 海外取引の経理実務 ケース50〈第3版〉(Amazon)
佐和 周(公認会計士・税理士)
現 有限責任 あずさ監査法人、KPMG税理士法人を経て、佐和公認会計士事務所を開設。専門は海外子会社管理・財務DD・国際税務など。東京大学経済学部卒業、英国ケンブリッジ大学経営大学院(Cambridge Judge Business School) 首席修了 (MBA)。詳細なプロフィールはこちら。