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インボイス制度:国税庁の公表サイトによる「身バレ」(本名バレ)問題

昨日の続きで、消費税のインボイス制度(適格請求書等保存方式)のことを書きます。

 

1. 身バレ(本名バレ)懸念の問題

昨日書いたのは以下の記事ですが、この内容は、個人事業者の「身バレ懸念」への対応と整理されているようです。

 

でも、正直なところ、このダウンロードの停止措置の効果はよくわかりません。

2. 取引先に対する身バレ

例えば、私の場合、インボイス制度に関係なく、すでに取引先には身バレしています。

というのも、取引先には、私からマイナンバーの提供を受けて、本人確認をする義務があります(報酬支払いについて、税務署に法定調書を提出する関係で)。私はペンネームなどで活動しているわけではないですが、すでに取引先に本名も確認されています。。

これは公認会計士報酬だけじゃなく、単発の講演なんかがあるときも同じで、講演の主催企業にマイナンバーを提供していますし、そこから本人確認もされています。

なので、原稿料などを受け取っているフリーランスの方々も、1年の支払金額が5万円を超える場合には、取引先(契約先企業)にマイナンバーの提供しているはずです(実際には、本人確認が厳密に行われていない可能性はありますが)。マイナンバーには本名が記載されているので、多くの場合、すでに取引先には身バレしているんじゃないでしょうか。

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3. 第三者に対する身バレ

ということは、問題は取引先への身バレではなく、第三者への身バレなのかもしれません。

昨日も書きましたが、インボイスの登録をすると、「適格請求書発行事業者公表サイト」に本名が公表されます。これは、登録番号が分かれば、対応する個人事業者の本名が分かる仕組みなので、例えば、請求書(適格請求書)上の登録番号などが第三者の目に触れれば、身バレしてしまうことになります(たぶん)。

もしそうであれば、国税庁の公表サイトで公表情報のデータのダウンロードが停止されても、この状況は変わりません。停止されたのは公表情報データのダウンロードだけで、依然として登録番号からの検索は可能だからです。

とはいえ、公表情報のデータの全件ダウンロードが可能な状況は、さすがにやり過ぎだった気もするので、これを停止することにより、身バレリスクは低減されるのかもしれません。

ちなみに、個人事業者の方々にとって、この身バレ問題に解決策はないですが、対応としては、割り切って登録しないか、あるいは別に法人を持つか、という感じでしょうか。あとは、リスク管理という意味では、取引先と登録番号紐付けの取引先コード表などを共有しておいて、請求書上に登録番号を記載しない(取引先コードで代用する)という方法もあるかもしれません(以下の記事参照)。実際に検討したことはないですけど。

 

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4. 興味はないけど知っておく必要あり

ちなみに、こういう問題は、私の仕事には全く関係しません。

なのに、こういうニュースを見ておかないといけないのは、企業向けに研修や勉強会をやると、必ずといっていいほど、こういうことを質問されるからです。

ご自身の仕事に関連する内容には興味がない一方、こういうニュースにだけは興味があるというのは、どういう優先順位の付け方なんだろうなとは思いますが、話す側としては、どういう形であれ、インボイス制度に関心を持ってもらえるのは有難いことです。

今日はここまでです。

では、では。

■インボイス制度に関する記事の一覧はこちら

 

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この記事を書いたのは…
佐和 周(公認会計士・税理士)
現 有限責任 あずさ監査法人、KPMG税理士法人を経て、佐和公認会計士事務所を開設。専門は海外子会社管理・財務DD・国際税務など。東京大学経済学部卒業、英国ケンブリッジ大学経営大学院(Cambridge Judge Business School) 首席修了 (MBA)。詳細なプロフィールはこちら

 

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