不動産の収用に伴う補償金の課否判定(消費税)
「消費税の基礎知識」シリーズということで、今は「非課税取引」をテーマに書いています(ただし、非課税取引っぽいものも含む)。
今回は不動産の収用に伴う補償金について。
Table of Contents
1. 不動産の収用
土地収用法等に基づいて不動産を収用され、それに伴って補償金を取得した場合には、対価を得て資産の譲渡を行ったものとされます。
つまり、国などに対して不動産を売却し、その対価として補償金(対価補償金)を得るイメージです。
2. 不動産の収用に伴う対価補償金の取扱い
そのため、収用に伴う対価補償金は、消費税の課税対象になります(収用の対象が建物の場合)。
一方で、収用の対象が土地の場合、その対価補償金は非課税になります。
ただし、この取扱いが適用されるのは、収用の目的となった所有権その他の権利の対価たる補償金(「対価補償金」)のみです。つまり、その補償金の収受により権利者の権利が消滅し、かつ、その権利を取得する者から支払われるものに限られます。
3. 対価補償金以外(収益・経費・移転補償金等)の取扱い
逆にいうと、以下のような補償金(収益・経費・移転補償金など)は、対価補償金に該当せず、したがって、消費税の課税対象にはなりません(不課税です)。
(1) 事業について減少することとなる収益又は生ずることとなる損失の補填に充てるものとして交付を受ける補償金
(2) 休廃業等により生ずる事業上の費用の補填又は収用等による譲渡の目的となった資産以外の資産について実現した損失の補填に充てるものとして交付を受ける補償金
(3) 資産の移転に要する費用の補填に充てるものとして交付を受ける補償金
(4) その他対価補償金たる実質を有しない補償金
(2) 休廃業等により生ずる事業上の費用の補填又は収用等による譲渡の目的となった資産以外の資産について実現した損失の補填に充てるものとして交付を受ける補償金
(3) 資産の移転に要する費用の補填に充てるものとして交付を受ける補償金
(4) その他対価補償金たる実質を有しない補償金
今日はここまでです。
では、では。
↓オススメ本
消費税の課否判定、私は以下の本(『消費税 課否判定・軽減税率判定早見表』)を使っています。さらっと確認したいとき、手許に1冊あると便利です。
この記事を書いたのは…
佐和 周(公認会計士・税理士)
現 有限責任 あずさ監査法人、KPMG税理士法人を経て、佐和公認会計士事務所を開設。専門は海外子会社管理・財務DD・国際税務など。東京大学経済学部卒業、英国ケンブリッジ大学経営大学院(Cambridge Judge Business School) 首席修了 (MBA)。詳細なプロフィールはこちら。
佐和 周(公認会計士・税理士)
現 有限責任 あずさ監査法人、KPMG税理士法人を経て、佐和公認会計士事務所を開設。専門は海外子会社管理・財務DD・国際税務など。東京大学経済学部卒業、英国ケンブリッジ大学経営大学院(Cambridge Judge Business School) 首席修了 (MBA)。詳細なプロフィールはこちら。