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インボイス制度:適格請求書紛失時の対応=再交付依頼

前回に引き続き、消費税のインボイス制度(適格請求書等保存方式)についてです。

今日はインボイス(適格請求書)の紛失のことを書きます。

0. この記事のポイント

インボイス(適格請求書)の再交付に関して、消費税法では何らの制限もありません。したがって、仕入側が適格請求書を紛失してしまった場合、売上側に再交付を依頼する必要があります。

 

 

1. 一般にインボイスは紛失するとやばい

私は海外関係の仕事をしていますが、同じような環境にある人は、たぶん「インボイスは紛失するとやばい」という感覚があると思います。

インボイスを紛失すると、input VATをoutput VATから引けなくなったり(=仕入税額控除を取れなくなったり)、再発行手続きが面倒だったり、罰金が科されたり、鞭打ちの刑に処せられたり(ないか)、そういう問題が発生するイメージがあります。

日本では、適格請求書等保存方式のことを「インボイス制度」とか「インボイス方式」と呼ぶので、漠然と「適格請求書って、紛失するとどうなるのかな」と思っていました。

2. 日本では紛失しても大丈夫

実は、この点についても、以前ご紹介した税務通信の記事(財務省主税局の人へのインタビュー記事)でわかりやすく解説されていました。3650号です。

詳細にはその記事をご覧頂ければと思いますが、「適格請求書の再交付をお願いすればいい」というのが結論です。

つまり、適格請求書を紛失しても、一応は大丈夫ってことですね。

3. 適格請求書の再交付はOK

逆に、売上側の立場では、「インボイスは再交付していい」ということです。

ちなみに、この点を「ふーん」と思われる方は、これ以降は流してください(そもそも引っ掛かりが無い方は、これ以降も「ふーん」という感じだと思うので)。

話しを戻すと、その理由は、インボイスの再交付に関して、消費税法で何らの制限も存在しないから、ということのようです。「書いてないからOK」系のお話は、ちゃんとした人に言ってもらうのが一番ですね。

ちなみに、「これは現在の制度と同じ考え⽅です」とも説明してあって、確かになあと思います。

さらに、「インボイスが再交付されると、買い⼿が⼆重に仕⼊税額控除をしてしまうのではないかという問題意識に基づいて質問されているのだと思います」とまで書いてあって、「そう、そう」という感じです。

当たり前のことですが、課税仕⼊れの事実が無いものについては、仮にインボイスを保存したとしても、仕⼊税額控除は取れないので、そう考えると、再交付も問題ないんでしょうね。

4. ただし自白は必要

なので、日本ではインボイスの紛失は「セーフ」という結論になります。

ただ、相手方(仕入先)には「紛失してしまいました。再交付してください」と自白する必要があるので、これは仕事上では「軽くアウト」という判定になるのかもしれません。

でも、鞭打ちの刑に比べると、全然いいですよね。

今日はここまでです。

では、では。

■インボイス制度に関する記事の一覧はこちら

 

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この記事を書いたのは…
佐和 周(公認会計士・税理士)
現 有限責任 あずさ監査法人、KPMG税理士法人を経て、佐和公認会計士事務所を開設。専門は海外子会社管理・財務DD・国際税務など。東京大学経済学部卒業、英国ケンブリッジ大学経営大学院(Cambridge Judge Business School) 首席修了 (MBA)。詳細なプロフィールはこちら

 

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