建物と土地を一括譲渡した場合の取扱い(消費税)
「消費税の基礎知識」シリーズということで、今は「非課税取引」をテーマに書いています(ただし、非課税取引っぽいものも含む)。
今回は建物と土地を一括譲渡した場合の取扱いについて。
Table of Contents
1. 建物と土地を一括譲渡した場合
これはあまり立ち入りたくない分野なので、さらっと書きます。
まず、土地と建物を一括して譲渡した場合、建物部分についてのみ、消費税が課税されます。
土地の譲渡は非課税なので(非課税取引についてはこちら)。
そのため、何らかの形で土地代金と建物代金を区分する必要があります。
2. 消費税法施行令に書いてあること
これについて、施行令に書いてある内容はだいたい以下のとおりです。
課税資産と非課税資産とを同一の者に対して同時に譲渡した場合において、対価の額が合理的に区分されていないときは、課税資産の譲渡等に係る消費税の課税標準は、以下のように計算した金額とする
対価の額×(譲渡時における)課税資産の価額/(課税資産の価額+非課税資産の価額)
対価の額×(譲渡時における)課税資産の価額/(課税資産の価額+非課税資産の価額)
3. 通達に書いてあること
また、通達に書いてある内容はだいたい以下のとおりです。
建物・土地等を同一の者に対し同時に譲渡した場合において、それぞれの対価につき、(所得税または)法人税の土地の譲渡等に係る課税の特例の計算における取扱いにより区分することが認められる
4. 国税庁のタックスアンサーに書いてあること
国税庁のタックスアンサーに書いてある内容はだいたい以下のとおりです。
譲渡代金を土地部分と建物部分に合理的に区分する方法には、例えば、以下がある。
1 譲渡時における土地及び建物のそれぞれの時価の比率による按分
2 相続税評価額や固定資産税評価額を基にした按分
3 土地・建物の原価を基にした按分
1 譲渡時における土地及び建物のそれぞれの時価の比率による按分
2 相続税評価額や固定資産税評価額を基にした按分
3 土地・建物の原価を基にした按分
5. でも…
一応はこういう感じです。
ただ、契約書には消費税等の額が記載されているはずで、そうすると、そこから建物部分の対価(建物の価額)を算出することができ、通常はこのやり方が認められると思います(たぶん)。
ただ、このやり方が不可とされた裁決事例もあり、その他判決・裁判事例も色々あるので、あんまり関わりたくない分野ではあります。
今日はここまでです。
では、では。
↓オススメ本
消費税の課否判定、私は以下の本(『消費税 課否判定・軽減税率判定早見表』)を使っています。さらっと確認したいとき、手許に1冊あると便利です。
この記事を書いたのは…
佐和 周(公認会計士・税理士)
現 有限責任 あずさ監査法人、KPMG税理士法人を経て、佐和公認会計士事務所を開設。専門は海外子会社管理・財務DD・国際税務など。東京大学経済学部卒業、英国ケンブリッジ大学経営大学院(Cambridge Judge Business School) 首席修了 (MBA)。詳細なプロフィールはこちら。
佐和 周(公認会計士・税理士)
現 有限責任 あずさ監査法人、KPMG税理士法人を経て、佐和公認会計士事務所を開設。専門は海外子会社管理・財務DD・国際税務など。東京大学経済学部卒業、英国ケンブリッジ大学経営大学院(Cambridge Judge Business School) 首席修了 (MBA)。詳細なプロフィールはこちら。