第2回 国外関連者に対する寄附金について事務運営指針に書いてあること
引き続き「国外関連者に対する寄附金」シリーズです。
Table of Contents
1. 前回の疑問
前回は、国外関連者に対する寄附金についてお伝えしました。
で、そこで1つの疑問を放置したままです。「国外関連者に対する寄附金の問題と移転価格税制の問題は、いったいどこが違うのか」ということです。
この点は、参考事例集のケースで見てみようと思うのですが、その前段階として、この国外関連者に対する寄附金について、事務運営指針に書いてある内容を確認しておきます。
2. 事務運営指針に書いてあること
事務運営指針では、「国外関連者に対する寄附金」が認定されるのは、以下のような事実が認められた場合としています(「資産の販売等=資産の販売、金銭の貸付け、役務の提供その他の取引」と考えてください)。
…当該資産の販売等が「金銭その他の資産または経済的な利益の贈与または無償の供与」に該当するとき
(2) 法人が国外関連者から資産の販売等に係る対価の支払を受ける場合
…当該法人が当該国外関連者から支払を受けるべき金額のうち当該国外関連者に実質的に「資産の贈与または経済的な利益の無償の供与」をしたと認められる金額があるとき
(3) 法人が国外関連者に資産の販売等に係る対価の支払を行う場合
…当該法人が当該国外関連者に支払う金額のうち当該国外関連者に「金銭その他の資産または経済的な利益の贈与または無償の供与」をしたと認められる金額があるとき
細かなことはいいとして、(1)を例にすると、普通の感覚では、「資産の販売等に係る収益の計上を行っていない」段階で、寄附金になりそうにも思うのですが、実際には判定にもう一段階あって、それが「金銭その他の資産または経済的な利益の贈与または無償の供与に該当するとき」に初めて寄附金になるということです。
これが哲学的でなかなか難しいんですよね。いっぱい解説もあって、偉い先生方がいろんなことをおっしゃってるのですが、私はよくわかりません。一応、次回、参考事例集の内容は確認しますが。。。
3. 子会社等を再建する場合の無利息貸付け等
今回はもう1つだけ。
普通の寄附金の場合、子会社が倒産に至る可能性があるような業績不振に陥っていれば、親会社が子会社に支援を行うことについて、法人税基本通達9‐4‐2(子会社等を再建する場合の無利息貸付け等)が適用されて、損金算入できる場合があります。
で、この点は国外関連者に対する寄附金も同様です。これも事務運営指針に書いてあります。
今日はここまでです。
では、では。
佐和 周(公認会計士・税理士)
現 有限責任 あずさ監査法人、KPMG税理士法人を経て、佐和公認会計士事務所を開設。専門は海外子会社管理・財務DD・国際税務など。東京大学経済学部卒業、英国ケンブリッジ大学経営大学院(Cambridge Judge Business School) 首席修了 (MBA)。詳細なプロフィールはこちら。