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佐和周のブログ

移転価格税制

第1回 企業グループ内における役務提供(IGS)とは(移転価格税制)

今回から、また移転価格税制の新シリーズです(移転価格税制コモディティ化計画の目次はこちら)。

 

1. 「役務提供取引(IGS)」シリーズ

今回から、無形資産取引と同じく、「棚卸資産取引以外の取引」ということで、「役務提供取引(IGS)」シリーズです。

2. 役務提供取引とは

役務というのは、サービスのことなので、「何かやってあげる」というのが役務提供です。無形資産取引と比べると、「実際に働く」というテイストが強いです。

で、ここから少しの間ですが、「自社(日本企業)が国外関連者である海外子会社に役務提供を行う」という設定で考えていきます。つまり、自社は役務提供側、言い換えると、対価の受取側です。

実際、限られた人員で運営している海外子会社では、機能が限定的なことが多いため、日本親会社が海外子会社に対して、経営・財務・業務・事務管理といった幅広いサポートを行っていることは多いんじゃないでしょうか。日本から遠隔でサポートすることもあれば、色々な部署の人が、海外子会社に出張したりもしますよね。

こういった役務提供を一般に「企業グループ内における役務提供(IGS:Intra-Group Service)」と呼びます。「IGS」は、この世界では頻出用語だと思います。

もちろん、逆に自社が国外関連者から役務提供を受けるケースもあると思いますが、それはこのシリーズの最後のほうで触れたいと思います。

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3. 「国外関連者に対する役務提供」の概念

こういう企業グループ内の役務提供の取扱いについては、事務運営指針に書かれている部分が多いです。

で、事務運営指針を読む際に注意して頂きたいのですが、「国外関連者に対する役務提供」という用語自体が「経済的または商業的価値を有するもの」であり、基本的に対価の回収が必要という整理になっているという点です。

以下、順番にご説明します。

(1) 日本親会社の「活動」とは

まず、日本親会社は、海外子会社(国外関連者)に関係して、例えば、以下のような「活動」を行っていると思います。

イ 企画または調整
ロ 予算の管理または財務上の助言
ハ 会計、監査、税務または法務
ニ 債権または債務の管理または処理
ホ 情報通信システムの運用、保守または管理
へ キャッシュ・フローまたは支払能力の管理
ト 資金の運用または調達
チ 利子率または外国為替レートに係るリスク管理
リ 製造、購買、販売、物流またはマーケティングに係る支援
ヌ 雇用、教育その他の従業員の管理に関する事務
ル 広告宣伝

上記リはかなり範囲が広いですが、「製造に係る支援」には、製造設備の設置、保守、点検、修理及び使用に係る技術指導など製造に関する活動が幅広く該当します。ただし、製造そのものは含みません。また、「販売に係る支援」には、販売契約に係る顧客との交渉、契約の締結、仲介業務などが該当します。

事務運営指針では、「経営、技術、財務または営業上の活動」等ということで、これらを「役務提供」ではなく、「活動」と呼んでいます。あ、この「活動」には、国外関連者(海外子会社)の要請に応じて随時活動を行い得るよう、定常的に活動に必要な人員や設備等を利用可能な状態に維持している場合が含まれます。

(2) 国外関連者に対する役務提供に該当することの意味合い

そして、日本親会社がこれらの活動を行った場合、その活動が「国外関連者に対する役務提供」に該当するかどうかは、その活動が国外関連者(海外子会社)にとって経済的または商業的価値を有するものかどうかにより判断します。

先ほどお伝えしたとおり、事務運営指針では、「国外関連者に対する役務提供に該当する」=「国外関連者から対価を回収すべき」という整理です。

そうすると、日本親会社の活動が、海外子会社から対価を回収すべきものかどうかは、「海外子会社にとって経済的または商業的価値を有するものかどうか」という基準で判断するってことですね。 

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4. 「経済的・商業的価値を有するものかどうか」の判断

で、「経済的または商業的価値を有するものかどうか」という点について、具体的な判断基準をざっくりいうと、以下のとおりです。

(1) 日本親会社がその活動を行わなかった場合、国外関連者が自らその活動と同様の活動を行う必要があるか
(2) 第三者間で同様の活動について対価を支払うかどうか

シンプルにいうと、上記で挙げた活動は、多くの場合、(1)海外子会社にとって必要な活動であり、(2)通常は対価のやり取りをするものなので、多くの場合、「経済的または商業的価値を有するもの」に該当します。

そうすると、上記の判断基準に合致し、事務運営指針にいう「国外関連者に対する役務提供」に該当するため、「日本親会社は国外関連者から対価を回収すべき」という結論になります。

上記の例外、つまり日本親会社の活動が「国外関連者に対する役務提供」に該当しないケース、言い換えると、日本親会社が海外子会社から対価を回収しなくてよいケースについては、次回確認します。

今日はここまでです。

では、では。

■移転価格税制に関するトピックの一覧はこちら

 

この記事を書いたのは…
佐和 周(公認会計士・税理士)
現 有限責任 あずさ監査法人、KPMG税理士法人を経て、佐和公認会計士事務所を開設。専門は海外子会社管理・財務DD・国際税務など。東京大学経済学部卒業、英国ケンブリッジ大学経営大学院(Cambridge Judge Business School) 首席修了 (MBA)。詳細なプロフィールはこちら

 

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