第3回 移転価格税制における「機能及びリスク」とは
引き続き「国外関連取引の内容等の検討」シリーズです。
第1回 国外関連取引の内容等の検討=前処理でお伝えしたのは、独立企業間価格の算定方法の選定に際して、比較可能性分析を行うことの重要性です。
Table of Contents
1. 国外関連取引の内容等の理解
そこでもう1つお伝えしたのは、その比較対象取引の選定を適切に行うためには、前段階として、国外関連取引の内容等を十分に理解しておかなければならないということでしたね。つまり、「どういったポイントについて比較するか」という、比較を行うための「諸要素」について的確に把握しておく必要があるということです。
2. なぜ機能及びリスクの分析が必要か
比較を行うための諸要素はいくつかありますが、そのうち、「売手または買手の果たす機能」や「負担するリスク」を分析するのが超重要だとお伝えしました。
なぜかというと、移転価格税制の世界では、というか、一般的にもそうかもしれませんが、「高い機能を果たす法人は、高い付加価値を生み出し、高い利益を得る」ことが期待されるからです。めちゃくちゃシンプルに言うと、「高い機能を持っていると、利益水準は高くてしかるべき」というのが基本的な発想になるので、利益の配分なんかに影響してくるということですね。
そして、この機能・リスク分析の結果は、独立企業間価格の算定方法の選択や比較対象取引の選定など、移転価格税制の適用における様々な論点に影響してきます。
だから、超重要ってことですね。
3. 機能とリスクのイメージ
「機能及びリスク」というのは、移転価格税制ではよく耳にする用語です。
じゃあ、具体的に「機能とは?」、「リスクとは?」ということは知っておきたいですよね。
(1) 機能のイメージ
製造機能や販売機能はわかりやすいところかと思いますが、こういう用語の羅列だと頭に入ってこないと思うので、次回具体的に確認したいと思います。
(2) リスクのイメージ
こっちは、普通にいうリスクですね。
4. 重要な機能やリスクかどうかの判断
機能・リスクに関する検討においては、国外関連取引に係る自社及び国外関連者の果たす機能や負担するリスクを詳細に見ていきます。
単に「機能やリスクが存在するかどうか」ということではなく、「果たしている機能や負担しているリスクが経済的に見て重要かどうか」という視点で検討等を行います。
さらに使用する無形資産も検討しますが、これはもうちょっと先に確認するということで。
5. 移転価格調査でチェックされるポイント
最後に、ポイント集(国税庁 「移転価格税制の適用におけるポイント」)には、この機能・リスクの検討について、以下の記述があります。
移転価格調査…においては、…機能・リスクについて、納税者及び国外関連者がどのような機能を果たし、またどのようなリスクを負担しているか、同業他社と比較してその機能が高い(または低い)かといった点を、その根拠となる資料(部署別の組織図、研究開発の年間計画や経営会議資料、研究開発費や広告宣伝費の明細など)や担当部署へのヒアリング内容などから、総合的に検討していくこととなります。
この機能及びリスクというのは、これからも繰り返し出てくる表現です。なので、この機会にぜひイメージをつかんでください。
次回から、もうちょっと具体的に、機能及びリスクについて、移転価格文書(ローカルファイル)にどのように書くかという具体例を見ていきたいと思います。
じゃあ、今日はここまでです。
では、では。