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佐和周のブログ

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オススメの書籍紹介:『グローバル・タックス 国境を超える課税権力』

このブログでは、不定期でオススメの本をご紹介しています。

時間がある週末にしか書けないので、この上なく不定期ですけど。

今回は『グローバル・タックス 国境を超える課税権力』です

今回は、『グローバル・タックス 国境を超える課税権力』(諸富 徹さん 著)という本です。

 

去年、弁理士の先生にオススメ頂いて、そのとき買ったままになっていたのですが、月刊『国際税務』の連載でデジタル課税のことを書くときに、背景情報として読みました。

2020年11月の本なので、OECDにおける最新の動向などをカバーしているわけではないのですが、諸々の合意に至る経緯(途中経過)などは非常にわかりやすく書かれています。

全体的にすごく読みやすいので、たぶんすぐに読み終わってしまうと思います。

目線が違う

この本は、財政学の先生が書かれているので、やっぱり税法の先生や実務をやっている人たちとは目線が違ってて、まずはその点が面白かったです。

例えば、売上高に着目したデジタル課税の1つの課題として、「流通段階数が少なければ少ないほど税負担は小さくなる」という特性から、「税制が企業に対して、節税のための垂直統合を促す」という副作用が挙げられています。要は、より寡占化が進むということですが、普段はこういう見方はしないよなと思います。

また、定式配分法について、グローバル利益をまず確定させ、それを配分していくという意味において、利益分割法(PS法)に近似しているという点も指摘されていて、そういうのも「言われてみるとそうだなあ」と思うところです。

その他、「どれほどの規模の租税回避が行われているのか」みたいな、ちょっとだけ定量的な分析(の紹介)なんかも、興味深く読みました。

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国際課税ルールの起源

また、論点でも何でもないのですが、「国際課税ルールの起源」というところで、PEルールや独立企業原則といった国際課税のルールが1920年代から1930年代前半にかけて形成されたことなどが書かれています。

もう100年くらい同じようなルールでやって来たのかと思うと、感慨深いですね。

でも、税理士業界が平均年齢60歳の世界ということを考えると、税理士の偉い先生だったら、「当時のことはよく覚えとるけどな。あの頃はモデル租税条約いうても、まだ国際連盟のやつや。ワシが条約にPEのこと入れとけって言うたんや。兄ちゃん、何歳や。」みたいにおっしゃる方もいらっしゃいそうですね(怖い)。微妙に現実にモデルがいそうな書きっぷりですが、もちろんそんなことはありません。

デジタル課税

話が逸れましたが、そういう従来の国際課税ルールからの転換という意味で、デジタル課税(国際課税の新しい枠組み)があり、この本ではそのあたりもわかりやすく解説されています。

例えば、「グローバル税源浸食(GloBE)」提案の背景にある考え方が、以上の2点に整理されています。

(1) 多国籍企業の利益は、必ず世界のどこかで一度は課税に服さなければならない
(2) そしてその税率水準は、グローバル最低税率を下回ってはならない

こういうのも、第2の柱(Pillar Two)の細かな規定を見る前に教えてもらっておくと、色んなことが理解しやすくなるのではないでしょうか。

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租税回避を助け、国際協調を妨げる者

最後に、「租税回避産業の勃興」というところについて。

これは、租税回避などにより法人税収が減少したことで、各国の当局が税制構造をより不平等な方向に変更せざるをえないという現状を受けた内容ですが、まずは以下のような記述がありました。

こうした現状が改善されないどころか、長らく放置されてきた原因の一端は、こうした状況を固定化し、ますます強化することで利益を得ている者の存在に帰することができる(Saez and Zucman 2019)。

うん、うん。誰かな? で、続きを読むと…

彼らは「租税回避産業(tax-dodging industry)」と呼ばれ、デロイト(Deloitte)、アーンスト&ヤング(Ernst & Young: EY)、KPMG、そしてプライスウォーターハウスクーパース(PricewaterhouseCoopers: PwC)といった「ビッグフォー」と呼ばれる四大会計事務所とその従業員から構成されている

なるほど。「租税回避を助け、国際協調を妨げる者」ですよね。英訳はaxis of evilでしょうか。

KPMGに勤めていたときも、自分の仕事はそんなに国際協調を妨げていなかったように思いますが、「四大会計事務所とその従業員」が構成員(?)のようなので、とにかくごめんなさい。

それ以上に、KPMGだけカタカナ対応してなくて、ごめんなさい。

税務について、普段読むのは実務書ばかりで、それ以外では志賀櫻先生の本くらいだったのですが、たまにはこうやって違った視点で税務のことを眺めるのもいいなと思いました。

「租税回避を助け、国際協調を妨げる者」たちにもオススメです。

今日はここまでです。

では、では。

 

この記事を書いたのは…
佐和 周(公認会計士・税理士)
現 有限責任 あずさ監査法人、KPMG税理士法人を経て、佐和公認会計士事務所を開設。専門は海外子会社管理・財務DD・国際税務など。東京大学経済学部卒業、英国ケンブリッジ大学経営大学院(Cambridge Judge Business School) 首席修了 (MBA)。詳細なプロフィールはこちら

 

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