事務所等の賃借料を建物部分と土地部分に区分したらどうなるか(消費税)
「消費税の基礎知識」シリーズということで、いまは「仕入税額控除」をテーマに書いています。
今回は、建物の賃借と土地の賃借の関係について。
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0. この記事のポイント
オフィスビルの賃貸などで、建物部分と敷地部分の賃貸料を区分して記載した場合でも、敷地部分だけを抜き出して非課税とする取扱いはなく、賃貸料全額が建物の賃貸料として、課税の対象となります。したがって、賃借人の立場では、賃借料の全額が基本的に仕入税額控除の対象になります。
1. 建物の賃借料は仕入税額控除の対象
以下の記事で見たとおり、事務所等(建物)の賃借料は課税仕入れに該当します。
事務所等の賃借料や共益費は仕入税額控除の対象になるか(消費税)
2. 土地の賃借料は仕入税額控除の対象外
一方、以下の記事で見たとおり、土地の賃借料(地代)は課税仕入れに該当しません(非課税なので)。
3. 建物部分と土地部分を区分したらどうなるか
じゃあ、オフィスビルの賃貸なんかで、(建物部分と)敷地部分の賃貸料を区分して記載したらどうなるでしょうか?
答えは…
どうもなりません。
敷地部分だけを抜き出して非課税にする取扱いはない(賃貸料全額が建物の賃貸料として、課税の対象となる)ということです。
これは通達に書いてあります。
建物その他の施設の貸付け又は役務の提供…に伴って土地を使用させた場合において、建物の貸付け等に係る対価と土地の貸付けに係る対価とに区分しているときであっても、その対価の額の合計額が当該建物の貸付け等に係る対価の額となることに留意する。
これ、本来は売上側(賃貸人側)から見て書いたほうがいい話ですね。
国税庁の質疑応答事例でも、「ビル等の貸付けに伴う土地の使用は、そのビル等の貸付けに必然的に随伴するものであり、その使用は土地の貸付けに該当しません」みたいに説明されています。
今日はここまでです。
では、では。
↓オススメ本
消費税の課否判定、私は以下の本(『消費税 課否判定・軽減税率判定早見表』)を使っています。さらっと確認したいとき、手許に1冊あると便利です。
この記事を書いたのは…
佐和 周(公認会計士・税理士)
現 有限責任 あずさ監査法人、KPMG税理士法人を経て、佐和公認会計士事務所を開設。専門は海外子会社管理・財務DD・国際税務など。東京大学経済学部卒業、英国ケンブリッジ大学経営大学院(Cambridge Judge Business School) 首席修了 (MBA)。詳細なプロフィールはこちら。
佐和 周(公認会計士・税理士)
現 有限責任 あずさ監査法人、KPMG税理士法人を経て、佐和公認会計士事務所を開設。専門は海外子会社管理・財務DD・国際税務など。東京大学経済学部卒業、英国ケンブリッジ大学経営大学院(Cambridge Judge Business School) 首席修了 (MBA)。詳細なプロフィールはこちら。