国際税務の使い方② 海外子会社からの資金還流(月刊『国際税務』連載より)
(写真は株式会社税務研究会様の許諾を得て掲載しています)
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連載:「新任社員のための イチから分かる! 国際税務の仕組みとポイント」
月刊『国際税務』で「新任社員のための イチから分かる! 国際税務の仕組みとポイント」という連載を持たせて頂いているので、編集部の許可を頂いて、その内容をちょっとずつブログでご紹介しています。
連載第19回~第21回は、国際税務に関する知識について、「実際にどのような場面で、どのように使うのか」を確認しています。
第20回 国際税務の使い方② 海外子会社からの資金還流をめぐる問題
前回(第19回)は、海外子会社への出向者と出張者をめぐる問題でしたが、第20回は、海外子会社からの資金還流をめぐる問題について書いています。
要はいつものパターンで配当と利息なのですが、「各論点をどのような組み合わせで検討するのか」という視点で解説しています。
細かな内容は連載をご覧頂くとして、海外子会社からの配当と利息について、それぞれ国際税務の観点で検討すべき事項の全体像だけ以下に示します。
配当による資金還流に係る検討
配当による資金還流に係る検討内容をまとめると、以下の図(図2)のとおりです。
まずは日本の税制と海外の税制を分けて考える必要があるので、列は2つです。
また、登場人物としては、日本親会社と海外子会社という法人だけなので、行も2つです。
なので、枠組みとしてはマトリックスで4つの検討事項(実質的には3つ)ということになりますが、利息による資金還流とは異なり、移転価格税制は適用されないので、外国子会社配当益金不算入制度の知識があれば、ほぼ足ります。
利息による資金還流に係る検討
利息による資金還流に係る検討内容をまとめると、以下の図(図5)のとおりです。
検討の枠組みは、配当による資金還流のときと同じです。
基本的に両国で移転価格税制が適用されることもあり、配当による資金還流に比べると、要検討事項が多いですね。
その他
その他、連載では、「配当還流と利息還流の税務上の有利・不利」や「応用編(一時的な資金還流)」なども書いているので、もしご関心があればご覧ください。
今日はここまでです。
では、では。
佐和 周(公認会計士・税理士)
現 有限責任 あずさ監査法人、KPMG税理士法人を経て、佐和公認会計士事務所を開設。専門は海外子会社管理・財務DD・国際税務など。東京大学経済学部卒業、英国ケンブリッジ大学経営大学院(Cambridge Judge Business School) 首席修了 (MBA)。詳細なプロフィールはこちら。