第1回 移転価格税制における独立企業間価格とは? 英語でいうと?
今回から、また移転価格税制の新シリーズです(移転価格税制コモディティ化計画の目次はこちら)。
Table of Contents
1. 「独立企業間価格の算定方法の選定」シリーズ
ここから少しの間、「独立企業間価格の算定方法の選定」シリーズです。
今回は、根本的なところで、「そもそも独立企業間価格とは何か」ということを確認しておきたいと思います。めっちゃ簡単なお話です。
2. 独立企業間価格とは
移転価格税制でいう「独立企業間価格」とは、仮に国外関連取引が、独立の事業者の間で、通常の取引の条件に従って行われるとした場合に、その国外関連取引につき支払われるべき対価の額をいいます。
シンプルにいうと、独立の第三者間で取引される際に成立するであろう価格水準ですね。
3. 「独立価格間価格」を英語でいうと
ちなみに、独立企業間価格は、英語ではarm’s length priceです。なので、よくALPと略されます。
ここでのarm’s lengthの意味は、直訳すると「腕の長さ」です。そりゃ、そうですよね。
イメージとしては、「他者と腕の長さくらいの距離を置く」、つまり「親密な関係になることを避ける」という意味合いです。
だからこそ、arm’s lengthが「独立」や「第三者」というニュアンスで使われるんですね。
4. 独立企業原則とは
話を戻すと、移転価格税制の問題は、この独立企業間価格をいかに算定するかの問題と整理できます。
つまり、移転価格税制では、まず「比較可能な独立の事業者の間であれば得られたであろう取引の条件」を何らかの形で参照します。その上で、それに基づいて国外関連取引に係る利益を調整することになります。
これは、「独立企業原則」と呼ばれる考え方ですね。英語だと、arm’s length principleです。
5. 独立企業間価格と為替差損益との関係
今回はほぼ雑談で終了ですが、独立企業間価格自体について、あと1つだけ。為替差損益との関係です。
取引日の外国為替の売買相場と決済日の外国為替の売買相場との差額により生じた為替差損益は、独立企業間価格には含まれないこととされています。
当たり前のことのようにも思えるのですが、一応通達に書いてあるので。
これは、為替差損益のうち、決済により実現した差損益(決済差損益)について、独立企業間価格から除外するという意味合いで、複雑な独立企業間価格の算定の実務を簡素化するための割り切りと整理されています。
今日はさっぱりしてますが、ここまでにします。次回は、独立企業間価格の算定方法を再確認します。
では、では。