電子帳簿保存法(電子取引):システム対応しない場合の検索機能の確保(エクセル等)
今日も電子帳簿保存法における電子取引の制度のお話です。
今回は、国税庁の電子帳簿保存法Q&A(一問一答)【電子取引関係】をもとに、電子取引の取引データを保存する際に必要になる検索機能の確保について書きます。
具体的には、システム対応していない場合に、エクセル等で検索機能を確保する場合の取扱いです。
Table of Contents
0. この記事のポイント
1. 検索機能の確保
電子取引の取引データの保存(電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存等)の際の要件のうち、検索機能の確保については、以下の記事にまとめました。
具体的には、以下の要件を満たす検索機能を確保する必要があります。
② 日付または金額に係る記録項目について、その範囲を指定して条件を設定できる
③ 二以上の任意の記録項目を組み合わせて条件を設定できる
ただし、電磁的記録について、税務職員による質問検査権に基づくダウンロードの求めに応じることができるようにしている場合には、②及び③の要件は不要となります。
しかも、この場合で、判定期間に係る基準期間における売上高が1,000万円以下の事業者については全ての検索機能の確保の要件が不要となります(詳細はこちら)。
2. システム対応していない場合
上記の検索機能の確保については、電子取引の取引データを保存するシステムがあって、そこで検索機能が確保されていれば、何も考えることはありません。
でも、そもそもそういうシステムがなかったり、システムがあっても上記の要件に対応していなかったり、という場合もあると思います。
国税庁の電子帳簿保存法Q&A(一問一答)【電子取引関係】では、そういう場合の対処方法にも言及されています。
3. 国税庁のQ&A(一問一答)の例
具体的には、電子取引の取引情報に係る電磁的記録(電子取引の取引データ)を保存するシステムがない場合に検索機能の確保の要件を満たす方法として、以下の例が挙げられています。
(2) ファイル名の入力で検索機能を満たす
(1) 一覧表の作成により検索機能を満たそうとする例
1つは、エクセル等で一覧表を作成するパターンです。
具体的には、エクセル等の表計算ソフトにより、取引データに係る「取引年月日等」・「取引金額」・「取引先」の情報を入力して一覧表を作成します。
で、エクセル等の機能により、入力された項目間で範囲指定、二以上の任意の記録項目を組み合わせて条件設定をすることが可能な状態にして、検索機能の確保の要件を満たす形ということです。
この場合、エクセル等の表計算ソフトの一覧表の通し番号(①、②、・・・)を付すなどして、請求書等の取引データとリンクさせ、一覧表から取引データを検索できるようにする必要があります。
具体的には、以下のような感じです。
国税工務店(笑) ノルマ厳しそう。
(2) ファイル名の入力により検索機能を満たそうとする例
もう1つは、ファイル名の入力で検索機能を満たすパターンです。
具体的には、取引データのファイル名を「取引年月日等」・「取引金額」・「取引先」を含み、統一した順序で入力しておくことで、それらを検索の条件として設定することができるようにする(それをもって検索機能の確保の要件を満たす)形です。
例えば、以下のようなイメージです。
⇒ファイル名は「20221130_㈱霞商事_20,000」など
で、税務職員のダウンロードの求めに応じることができるようにしておくってことですね。
この方法、整理が苦手な人やめんどくさいのが嫌いな人は、早々に破綻しそうなので、やめたほうがよさそうに思います。
ちなみに、国税庁のQ&A(一問一答)では、どちらかに統一されていれば、取引年月日その他の日付は和暦でも西暦でも構わないとされています。西暦のほうが良さそうですけど。
今日はここまでです。
では、では。
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佐和 周(公認会計士・税理士)
現 有限責任 あずさ監査法人、KPMG税理士法人を経て、佐和公認会計士事務所を開設。専門は海外子会社管理・財務DD・国際税務など。東京大学経済学部卒業、英国ケンブリッジ大学経営大学院(Cambridge Judge Business School) 首席修了 (MBA)。詳細なプロフィールはこちら。