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インボイス制度:出張旅費等の取扱いの整理(出張旅費等特例&公共交通機関特例)

消費税のインボイス制度(適格請求書等保存方式)について、ここ数か月の議論のアップデートです。

今回のテーマは、出張旅費等の取扱いの整理です。

 

1. 出張旅費等

最近、インボイス制度対応で作られたフローチャートなど、(経理部門以外の)他部門に周知するための資料を見ることが多いです。

こちらでもチェックするのですが、いつも「なんでこんな複雑な制度にしたのかなあ」と思います。

ということで、今日は出張旅費等の取扱いについて書きますが、内容としては以下のようなものを想定します。

  • 鉄道料金
  • バス料金
  • 船舶料金
  • 航空券代
  • タクシー代
  • 宿泊料金

2. 出張旅費等特例

まず考えるべきは、出張旅費等特例の適用の有無です。

具体的には、会社が従業員等に対して支給する出張旅費、宿泊費、日当等のうち、その旅行に通常必要であると認められるものについては、一定事項を記載した帳簿のみの保存でOKとされています。

これが使えれば一番ラクです。

出張旅費等特例の内容については、以下の記事をご参照ください。

 

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3. 公共交通機関特例

次に、出張旅費等特例が使えない場合に考えるべきことです。

例えば、従業員等が法人クレジットカードで決済したような場合です(会社が切符などを購入して従業員等に支給した場合も同様です)。

この場合は、出張旅費等特例の適用対象外なので、公共交通機関特例の適用の有無を考えます。

(1) 鉄道・バス・船舶

鉄道・バス・船舶の料金で、購入金額が税込3万円未満の場合は、公共交通機関特例の適用があるため、一定の事項を記載した帳簿のみの保存でOKです。

公共交通機関特例の内容については、以下の記事をご参照ください。

 

一方、税込3万円以上の場合は、インボイスの保存も必要になるので、その旨を周知しておく必要があります。

(2) 飛行機・タクシー

航空券代やタクシー代については公共交通機関特例の対象外です。

なので、金額にかかわらず、インボイスの保存も必要になります。

(3) 宿泊費

宿泊費については、公共交通機関特例は関係ないので、普通にインボイスの保存が必要です。

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4. 経過措置

最後にもう1つ考えるべきは経過措置です。

インボイス制度導入から一定期間は、適格請求書発行事業者以外の者からの仕入れであっても、仕入税額相当額の一定割合(80%や50%)を仕入税額とみなして控除できる経過措置が設けられており(適用には一定の要件があります)、出張旅費等についても、この経過措置を使う余地があります(例えば、タクシーの事業者が免税事業者の場合など)

なので、免税事業者の個人タクシーでも、ちゃんと(区分記載)請求書等をもらうように周知しておかないといけないと思います。もちろん、いちいち帳簿に「80%控除対象」みたいな感じで書くのがめんどくさいとか、事務処理コストのほうが高そうであれば、別に放っておいてもいい気はしますけど。

今日はここまでです。

では、では。

■インボイス制度に関する記事の一覧はこちら

 

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この記事を書いたのは…
佐和 周(公認会計士・税理士)
現 有限責任 あずさ監査法人、KPMG税理士法人を経て、佐和公認会計士事務所を開設。専門は海外子会社管理・財務DD・国際税務など。東京大学経済学部卒業、英国ケンブリッジ大学経営大学院(Cambridge Judge Business School) 首席修了 (MBA)。詳細なプロフィールはこちら

 

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