『海外子会社管理の会計・税務・財務ケース50』の基本コンセプト
(写真は株式会社中央経済社様の許諾を得て掲載しています)
今日は、新著のことを少しだけ。
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『これだけは押さえておこう 海外子会社管理の会計・税務・財務ケース50』
『これだけは押さえておこう 海外子会社管理の会計・税務・財務ケース50』は、1年半ぶりくらいに書いたものですが、Amazonで予約販売が始まっています。
今回は、この書籍の基本コンセプトについて。
この本の特徴
「はじめに」を抜粋しますが、この本の特徴は以下のような感じです。
本書の特徴として、シンプルに、また淡々と、「こういう点を見ればいいのでは?」というアイデアをどんどん書き綴っている点があります。言葉遣いも堅苦しくならないように気を付けました。逆にいうと、「そもそもガバナンスとは」などの崇高な理論や、4象限のバブル・チャートなどの概念的で難しい図も入れていません。
誰に向けて書いた本か
また、その続きで、この本を「どういう人たちに向けて書いたか」も明確にしています。
…「インオーガニック・グロースを重視してきた弊社が、現状抱えているグローバル・レベルのコーポレート・ガバナンス上のイシューについて、十分なアセスメントを行ったうえで、ソリューションを検討するプロセスをアクセラレートしたい」という雰囲気の方々には、物足りない内容になっていると思います。
一方で、「あーあ、海外子会社の管理、どうしようかな~」くらいの感じでシンプルに考えておられる方々にとっては、いいヒントが含まれているかもしれません。本書が、少しでもそういう方々のお役に立てるといいなと思います。
一番こだわって書いたのは、下線部分であり、これは私が実際の会話(日本語)の中で遭遇したカタカナ語を抽出・羅列したものです。
書籍のタイトルにあるように「これだけは押さえておこう」なので、1つ1つの論点には深入りせず、簡単な言葉で淡々と書いており、そういうのがマッチするかどうかが大事だと思っています。
ちなみに、気に入っているのは、「アクセラレートしたい」という表現です。「それ日本語で使う?」という絶妙なラインで、聞いたときには半笑いになりました。そして、「いつか自分もこの表現を使うぞ」と誓った秘蔵ワードです。ただ、さすがに会話で使うと恥ずかしいので、この本に託すことにしました(何をしているのか)。
なお、この部分は、校正の段階で編集者の方が「トル?」と赤ペンを入れてくださったのですが、「そのままで」とチャレンジし、無事世に出ることになりました(ごめんなさい)。
この本のコンセプト
もうちょっとだけ真面目に書くと、この本のコンセプトは以下のとおりです。
本書は、海外に子会社を持つ日本企業が、会計・税務・財務などの「数字が関係する分野」で、どのように海外子会社を管理すべきかというテーマを取り扱っています。
シンプルにいうと、こういった分野での「海外子会社管理のコツ」といったところですが、具体的には、日本側でチェックすべき項目を50のチェック・ポイントの形にまとめています。
分野としては、会計・税務・財務(資金管理)という感じです。
海外子会社の場合、税務は結構大変で、財務は放置されていることもあるので、以下のような内容も書いてます。
会計・税務・財務という3つの分野のうち、会計面の管理を行っていないことはないと思います。海外子会社の月次損益はほぼ必ず見ているでしょう。でも、税務面はどうでしょうか。海外子会社の税務申告の内容は把握されていますか。また、財務面では、海外子会社の資金繰り管理をチェックされたことはあるでしょうか。本書では、管理が手薄になりがちな税務面や財務面も含めて、チェック・ポイントを挙げています。
また、海外子会社の場合、国内子会社にも増して、不正リスクへの対応が重要になります。このような観点から、チェック・ポイントには、贈賄リスクなどの不正リスク対応に関する項目も含めました。
そういえば、不正リスクのことも書きましたね。忘れてました。
発売日は6月3日なので、明日です(たぶん)。
どの程度怒られるかは未定
この本が売れなかった場合、私が編集者の方にどの程度怒られるかは未定です。
しかしながら、私には「締め切りを1か月延ばしてもらった」という負い目があります。
ちなみに、仮に怒られるとしたら、静かに怒られます。ご家庭でそういう環境にいらっしゃる方であれば、場面設定は容易にご想像頂けると思います。そして、誰もがそうだと思いますが、私もできればそういう状況は避けたいです(だって、家でも…)。
そのあたりも含めて、というか、むしろその点を中心に、いや、その点だけは、皆さん、どうぞよろしくお願い致します。
佐和 周(公認会計士・税理士)
現 有限責任 あずさ監査法人、KPMG税理士法人を経て、佐和公認会計士事務所を開設。専門は海外子会社管理・財務DD・国際税務など。東京大学経済学部卒業、英国ケンブリッジ大学経営大学院(Cambridge Judge Business School) 首席修了 (MBA)。詳細なプロフィールはこちら。