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雑感

「海外企業の財務DDはご依頼可能ですか?」というFAQ

仕事が一段落したので、今日は雑談です。

色々な仕事

少し前に「私がどんな仕事をしているか」を書きました(こちら)。

ただ、依然としてうまく説明できていないので、今日は私の仕事に関するFAQをもとに、もう少し具体的に書きます。

お仕事に関するFAQ

私はDDの本を書いていることもあって、DDのご依頼をよく頂きます。

 

そのときに聞かれることが多いのは、以下の2つです。

  • 純粋国内の財務DDでも受けてもらえますか?
  • 海外企業を買収する際の財務DDってお願いできますか?
  • 前者については、また別の機会に書きますが、純粋国内の財務DDをやることはあります

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    海外の財務DD

    一方、後者については、海外の財務DDは自分ではやりません。というか、できません。

    どうしても、ということなら、財務DDと税務DDを分けたときの「財務DD」(つまり、会計部分だけ)なら、たぶんできますし、実際にやることもあります。基本的にはお断りしていますが、仕方ないときは、リスクを十分に説明したうえで引き受ける形です。ただし、英語が通じて、かつ、書類の大半が英語で作成されていることが条件です。

    また、海外企業の税務DDは無理です。私の場合、見た目は現地っぽいのですが(どこの?)、それはあくまでも見た目だけなので。やっぱり現地の税法や実務は、現地の専門家じゃないとわかりません。

    お付き合いのあるクライアントには、「海外案件は、品質面の観点から、現地の監査法人や税理士法人(できれば大手)に依頼すべき」とお伝えしています。

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    海外の財務・税務DDのサポート

    ただ、海外企業の財務・税務DDのサポートのお仕事は定期的にあります。財務・税務DDは現地の専門家がやっている状況があって、それを日本側でサポートするイメージです。

    担当の方は大変

    というのも、海外の買収だと、企業の担当の方はDD以外にもやることがいっぱいあって、単純に手が足りない印象です。

    しかも、DDに限っても、こと海外となると、それだけでなかなか大変だと思います。税務DDのレポートは何が書いてあるのかわからないし、法務DDもちょっと。。。しかも、それらが財務DDのレポートとリンクしてるのかもよくわからない。財務DDのレポートは「わかりやすいし、読みやすいなー」と思って読んでいると、単に中身がスカスカなだけだったり(笑えない)。

    でも、結局は「いくらで買うか」に直結する問題なので、ある程度リスクは特定しつつ、バリュエーションとの関係も常に考えておく必要があるわけで。

    そんな状況なので、企業の担当の方は、経営会議や取締役会のスケジュールを見ながら、色々な専門家と色々な調整をする必要があり、傍目に見てるだけでも胃が痛くなります。

    なので、こんなサポートを

    そんなとき、私の役割の1つは、企業の買収のチームに混ざって、「こんな感じで進めましょう」みたいに一緒に考えることです。

    もう少し言うと、「税務DDのこの論点はもうちょっと現地に見てもらいましょう」とか、「法務DDのこの検出事項は、財務DDのほうに反映してもらいましょう」とか、そういうアドバイスもします。

    ただ、単にアドバイスするというよりは、いろんな打ち合わせにも出席します。私は何を言ってもいい立場なので、現地の専門家とのウェブ会議でも、引っ掛かることがあれば、ギャーギャー言います(笑) バリュエーションも一緒に考えますし、役員向け説明資料を作ったりなんかも。

    そういう意味では、半分社内の人です。

    あとは、プロジェクトの過程で、「このレポートの内容、どう思われます?」みたいなご質問を頂くことも多いです。その場合、「これはちゃんと見てくれてるから安心ですね」とか「これはキレていいですよ」みたいにお答えします。主観的な要素とか好みもあると思いますが、ある程度数をこなしたほうが、品質は判断しやすいのかもしれません。

    スムーズに進むことは稀ですが、少なくとも企業の方と苦楽は共にします(笑) いや、正確には、企業の方と「苦」を共にします(笑えない)。同じクライアントからも定期的にお声掛け頂けるので、ちょっとは貢献できてるのかなと勝手に思っています。

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    レポート早読み大会

    もう1つ、海外の財務・税務DDのサポートでは、現地からのレポート(のドラフト)を早読みするのも、私の重要な役割の1つです。

    早読み大会の開催

    前提として、現地の財務・税務DDは、基本的に現地の専門家がやっていますが、それが日本側の監査法人と同一系列の法人の場合などは、日本側にもFASの人とかがいるケースが多いんじゃないでしょうか。もちろん、実際にはもっと色んな形がありますけど。

    勝手なイメージだと、現地の財務・税務DDのレポートは英語で来ますが、日本側のFASの人なんかが取りまとめて、一部翻訳しつつエッセンスを教えてくれる感じです(裏側では税理士法人の人なんかも色々やってくれてると思います)。

    ただ、私がチームに入っているときは、日本側(FASの人など)にお願いして、翻訳前(というか日本側のチェック前)に現地のレポートのドラフトを読ませてもらうようにしています。なので、日本側の専門家の方たちとよーいドンで読む感じですね。

    レポート早読みの重要性

    ここが一番の頑張りどころなので、私はレポートを必死で読みます(だいたい翌朝までに)。そして、日本側の専門家の方が現地に質問や追加依頼をする際に、こちらの質問や追加依頼も一緒に反映してもらえるよう、お願いします。

    「何でこれ見てないの?」とか「何で定量化してくれてないの?」というポイントは確実にあるので、そういうのを早い段階(第一次のやり取り)でつぶしておくイメージで、これが海外のDDのスピードアップと品質向上のコツだと考えています。

    自分でDDをやっていてもそうですが、必ず「他人に言われて気付くこと」があります。それはバリュエーションへの影響であったり、ストラクチャリングへの影響であったり、日本側の税務上の影響であったり、後に控えるPPAへの情報提供であったり、想定される連結上の問題であったり。。。

    そういうのは、DDで見ておかないと、後工程が残念なことになります。なので、DDのレポートは、できるだけ多くの目でチェックすることが重要ですよね。

    本当はすごく嫌だろうけど、対応してくれる日本側のFASの人などにはいつも感謝しています。

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    お仕事のことはまた書きます

    この内容は、よくお問い合わせを頂く内容なので、とりあえずここでまとめてみました。

    あんまり普通の会計士とか税理士の働き方ではないので、ますます謎な感じになってしまうかもしれませんが。

    私の具体的なお仕事の内容については、こんな感じで、また書いていきたいと思います。

    今日はここまでです。

    業務内容に関するお問い合わせは以下からお願いします。

     

    では、では。

    この記事を書いたのは…
    佐和 周(公認会計士・税理士)
    現 有限責任 あずさ監査法人、KPMG税理士法人を経て、佐和公認会計士事務所を開設。専門は海外子会社管理・財務DD・国際税務など。東京大学経済学部卒業、英国ケンブリッジ大学経営大学院(Cambridge Judge Business School) 首席修了 (MBA)。詳細なプロフィールはこちら

     

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