電子帳簿保存法:国税関係書類における重要書類と一般書類とは
今日も電子帳簿保存法におけるスキャナ保存制度のお話です。
今回のテーマは、国税関係書類における重要書類と一般書類の区分です。
重要なのは、(文字どおり)重要書類なので、それを切り分ける趣旨です。
Table of Contents
0. この記事のポイント
1. スキャナ保存制度の対象書類
スキャナ保存制度の対象書類については、以下の記事でまとめました。
この対象書類は、「重要書類」と「一般書類」に区分されます。
2. 重要書類と一般書類
重要書類と一般書類は、文字どおり重要性によって分類されますが、一般的には、それぞれ以下のような意味合いです。
一般書類:資金や物の流れに直結・連動しない書類
3. 重要書類と一般書類の定義
関係としては、「一般書類」のほうが定義されていて、「重要書類」のほうは「国税関係書類のうち一般書類以外」という感じです。
といっても、一般書類の定義は、施行規則(電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律施行規則)の第2条第7項で、「国税庁長官が定める書類」と規定されているだけで、具体的には、平成17年国税庁告示第4号(がその後ちょっとずつ改正されたもの)を見ることになります。
なので、もし問題になる書類が一般書類か重要書類か迷ったら、そこに遡って調べる必要があるってことですね。
それはさすがにめんどくさいので、以下では、具体例で見ていきたいと思います。
4. 重要書類の例
まずは重要書類から。
重要書類は、上記のとおり、資金や物の流れに直結・連動する書類です。
国税庁の電子帳簿保存法Q&A(一問一答)【スキャナ保存関係】においては、重要書類は「特に重要な書類」とそれ以外に分類されており、それぞれの内容は以下のとおりです。
(1) 重要書類のうち「特に重要な書類」
重要書類のうち、特に重要な書類というのは、「一連の取引過程における開始時点と終了時点の取引内容を明らかにする書類で、取引の中間過程で作成される書類の真実性を補完する書類」とされており(意味はよくわからない)、以下のようなものが該当します。
・領収書
(+これらの写し)
領収書って、スキャナ保存の対象にすることは多いと思うのですが、重要書類の中でも特に重要という位置付けになっています。
(2) 重要書類のうち特に重要な書類「以外」
重要書類のうち、特に重要な書類「以外」というのは、「一連の取引の中間過程で作成される書類で、所得金額の計算と直結・連動する書類」とされており(意味はよくわからない)、以下のようなものが該当します。
・借用証書
・預金通帳
・小切手
・約束手形
・有価証券受渡計算書
・社債申込書
・契約の申込書(定型的約款無し)
・請求書
・納品書
・送り状
・輸出証明書
(+これらの写し)
色々と入ってますが、請求書や納品書も重要書類です。
結局のところ、重要書類は「資金や物の流れに直結・連動する書類」なので、だいたい常識で判断すれば大丈夫だと思います。
5. 一般書類の例
次に一般書類のほうです。
一般書類は、上記のとおり、資金や物の流れに直結・連動しない書類です。
国税庁の電子帳簿保存法Q&A(一問一答)【スキャナ保存関係】においては、以下の例示があります。
・入庫報告書
・貨物受領証
・見積書
・注文書
・契約の申込書(定型的約款有り)
(+これらの写し)
ちなみに、別途定型的な約款があらかじめ定められている契約申込書については、保険契約申込書・電話加入契約申込書・クレジットカード発行申込書などが該当するみたいです。
今日はここまでです。
では、では。
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佐和 周(公認会計士・税理士)
現 有限責任 あずさ監査法人、KPMG税理士法人を経て、佐和公認会計士事務所を開設。専門は海外子会社管理・財務DD・国際税務など。東京大学経済学部卒業、英国ケンブリッジ大学経営大学院(Cambridge Judge Business School) 首席修了 (MBA)。詳細なプロフィールはこちら。