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佐和周のブログ

雑感

オススメの書籍紹介:『ASEAN諸国の税務』

このブログでは、不定期でオススメの本をご紹介しています。

夏休み中は小説のことを書いていたのですが、夏休みはもう終わってしまったので(というか、あんまりなかった)、専門書に戻ります。

今回は『ASEAN諸国の税務』です

今回は、『ASEAN諸国の税務』(KPMG/KPMGジャパン 編)という本です。

 

前身は『メコン流域諸国の税務』

いきなりですが、この本の前身は『メコン流域諸国の税務』という本です。

「はじめに」に書いてあるのを見て、初めて気が付きました。

それにしても、メコン流域(笑)

『メコン流域諸国の税務』というタイトルに聞き覚えはあるのですが、そんなに読んだ記憶はないです。

というのも、私は、メコン川がどこを流れているのか、イマイチわかっていません。

調べてみると、『メコン流域諸国の税務』は、一応、タイ・ベトナム・カンボジア・ラオス・ミャンマーをカバーしていたみたいです。

ただ、メコン川がどのようにそれらの国々を流れているのかは、調べていません。

個人的には、タイとベトナムはよくお仕事で遭遇するのですが、カンボジア・ラオス・ミャンマーって、あまり縁がないです。

逆にシンガポールとかインドネシアがないのはちょっとキツイので、当時は『アジア諸国の税法』(税理士法人トーマツ 編)のほうを使っていました

 

9か国をカバー

これに対して、新しいほうの『ASEAN諸国の税務』は、9か国をカバーしています。

「あれ?」と思われた方、その感覚は正しいです。

ASEAN(東南アジア諸国連合)の加盟国は10か国あるはずですよね。

どこが無視されているのか?

ブルネイ(ブルネイ・ダルサラーム国)でした… ちょっと寂しい気はしますが、納得できなくもない、そんな感じです。

ちなみに、ブルネイにメコン川が流れていないのは、さすがにわかります。島だから。

気を取り直して、『メコン流域諸国の税務』がカバーしていた5か国(タイ・ベトナム・カンボジア・ラオス・ミャンマー)と比べると、シンガポール・マレーシア・インドネシア・フィリピンが増えました(合計9か国)。

新しく増えた国のほうがメジャーなのは、気のせいでしょうか。

そうそう、「アジア」という括りとの違いでいうと、中国とインドが入っていないのは大きいと思うので、念のため。

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どんなことが書いてあるか

じゃあ、次に具体的な内容ですが、メインの部分は以下のような感じです。

第1部 タイの税務
第2部 ベトナムの税務
第3部 シンガポールの税務
第4部 マレーシアの税務
第5部 インドネシアの税務
第6部 フィリピンの税務
第7部 ミャンマーの税務
第8部 カンボジアの税務
第9部 ラオスの税務
第10部 移転価格税制

各国の移転価格税制のことは、第10部に抜き出されていて、それぞれ5~6ページくらいでシンプルにまとめてくれています(が、どちらかというと「コラム」に書いてある内容のほうがいいかも)。

第1部~第9部は、各国、同じような構成になっていて、カバーされている税目は以下のとおりです。

  • 個人所得税
  • 法人所得税
  • 源泉税
  • 付加価値税
  • 例えば、ベトナムだったら、源泉税のところは外国契約者税だったり、シンガポールだったら、付加価値税のところがGSTだったりしますが、各国同じような感じで書いてあります。

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    なぜこの本がいいのか

    この本、読みやすいとか、わかりやすいとか、そういう類いの本ではないです。

    ただ、個人的には、「アジアの税務のことをBig4が書いてくれている」というところに価値があると思っています。

    トーマツさんの『アジア諸国の税法』をみんな(?)買っていたのも、そういうところじゃないでしょうか。

    個人的な印象に過ぎませんが、やはり新興国になればなるほど、Big4とそれ以外の信頼性の差が大きくなってくるような気がします(逆に、中国なんかは、Big4にこだわらなくてもよさそう)。

    この本が「買い」な理由は、まさしくそれです。詳細は現地に確認しなければならないとしても、「まあ、こんな感じで大丈夫かな」という安心感が得られるのは大きいです。

    しかも、現地の税法は結構変わってたりするので、2013年が最新の『アジア諸国の税法』はちょっとなーという感じで、KPMGさんが2021年にこの『ASEAN諸国の税務』を出してくれたのは、ありがたいなあと思います。

    クライアントの方に「ここに書いてありますよ」と言いやすい本で、個人的にもすごく助かっています。

    このブログは専門家向けには書いていないですが、色んな国に関して、(軽い)問い合わせが来るような専門家の方々には特にオススメです。

    KPMGさん、ありがとうございました。

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    タイはよかった

    ちなみに、私がこの本の存在に気付いたのは、タイに関する調べ物があったからなのですが、「タイの税務」(第1部)はすごくわかりやすかったです。

    短期滞在者免税の要件(報酬の負担関係)のところとか、必要な情報をさらっと書いてくれていて、いい感じでした。また、タイについては、その他の部分を読んでも、全体的に気が利いてるなーと思いました

    国によって執筆されている方が違うので、そうでもない国はあるような気はしますが、それについては触れません。

    ちなみに、ミャンマー・カンボジア・ラオスの部分は読んでいません。ごめんなさい。

    今日はここまでです。

    では、では。

     

    この記事を書いたのは…
    佐和 周(公認会計士・税理士)
    現 有限責任 あずさ監査法人、KPMG税理士法人を経て、佐和公認会計士事務所を開設。専門は海外子会社管理・財務DD・国際税務など。東京大学経済学部卒業、英国ケンブリッジ大学経営大学院(Cambridge Judge Business School) 首席修了 (MBA)。詳細なプロフィールはこちら

     

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