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佐和周のブログ

移転価格税制の基礎

第18回 無形資産の使用許諾取引に関する税務リスクの概観

いきなりですが、このブログは、国税庁が出している情報にこだわり、主にそれらを組み替えたり、わかりやすくしたりして、移転価格税制の基礎を伝える趣旨のものです。

なので、あんまり雑談はしないという(きわめて個人的な)ルールなのですが、この無形資産の使用許諾取引に係る移転価格リスクについては、いくつかお話ししたいことがあります。

 

日本側の移転価格リスクの問題

まず、日本親会社が海外子会社からロイヤルティを回収しているケースで、日本側の移転価格リスクが高いのは、国外関連者である海外子会社の利益率が高いときです。

順番にご説明すると、まず経営の観点では、海外子会社が高収益を上げているのは望ましいことです。

しかしながら、税務の観点からは、この状況を手放しでは喜べません。これは、海外子会社の利益率が高すぎると、日本の税務当局に「日本親会社から利益が移転しているのではないか」という疑いをかけられる可能性が高いためです。

前回お伝えした、(2)ロイヤルティ控除後の海外子会社の営業利益を見る方法を考えて頂ければわかりますよね。

TNMMの考え方では、例えば、単純な機能しかない海外子会社の営業利益率が高すぎると、日本の税務当局は「日本親会社が供与している技術に対するロイヤルティの水準が低すぎるのではないか」という疑念を抱くということです。

以前にも少しお伝えしましたが、海外子会社の移転価格リスクの管理は、営業利益率の目標レンジなどで運用していくのがいいと思います。これはロイヤルティのやり取りがあるときでも同じです。

海外側の移転価格リスクの問題

それと、もう1つ。日本側だけで考えると、海外子会社からロイヤルティを十分に回収しておけば問題はありません。

しかしながら、移転価格税制は、基本的に二国間の問題です。つまり、海外側のことも考える必要があります。

すなわち、日本親会社がロイヤルティを回収し過ぎると、逆に海外子会社の営業利益率が比較対象に比べて低過ぎる状態になり、海外の税務当局にロイヤルティ料率の高さを問題視される可能性があります。

海外子会社の側で、ロイヤルティの損金性が否認される(損金算入ができなくなる)のは、それほど珍しいことでもないので、注意が必要です。

ロイヤルティについては、支払いの対価が無形であるがゆえに、損金算入のハードルがそれなりに高いということで。

移転価格税制では、企業は常に両国の税務当局間の板挟みになりますが、無形資産の使用許諾取引についても、このイメージを持っておいて頂ければと思います。

次回は、無形資産の使用許諾のケースが見ていきます。

『これだけは押さえておこう 国際税務のよくあるケース50』のご紹介

前回と同様、このあたりも以下の本にライトな感じで書いてあります。

 

では、では。

この記事を書いたのは…
佐和 周(公認会計士・税理士)
現 有限責任 あずさ監査法人、KPMG税理士法人を経て、佐和公認会計士事務所を開設。専門は海外子会社管理・財務DD・国際税務など。東京大学経済学部卒業、英国ケンブリッジ大学経営大学院(Cambridge Judge Business School) 首席修了 (MBA)。詳細なプロフィールはこちら

 

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