第1回 移転価格税制における「無形資産」をわかりやすく
今回から、また移転価格税制の新シリーズです(移転価格税制コモディティ化計画の目次はこちら)。
Table of Contents
1. 「無形資産の使用許諾取引」シリーズ
これまでは、特に明示はしていませんでしたが、何となく棚卸資産取引を前提にお話ししてきました。
今回から少しの間、「無形資産の使用許諾取引」シリーズです。言い方は色々ですが、ロイヤルティ/ライセンス・フィー/使用料といったものをやり取りするような取引ですね。
なお、無形資産の譲渡取引はもうちょっと先のほうで確認します。
2. 無形資産とは
で、まず「無形資産って何?」というところからです。
移転価格税制にいう「無形資産」とは、以下をいいます。
(1) 特許権、実用新案権その他の資産で、有形資産や金融資産(現金・預貯金・有価証券等)以外の資産であり、
(2) 独立の事業者の間で通常の取引の条件に従って譲渡や貸付けなどが行われるとした場合に、その対価の額が支払われるべきもの
(2) 独立の事業者の間で通常の取引の条件に従って譲渡や貸付けなどが行われるとした場合に、その対価の額が支払われるべきもの
ざっくりいうと、(1)無形で、(2)価値がある、という感じでしょうか。
3. 無形資産の例示(通達)
無形資産には、例えば、以下のようなものが含まれます(通達で例示されています)。
4. 無形資産の例示(事務運営指針)
また、事務運営指針では、無形資産について、以下のような例示があります。
①技術革新に関する無形資産
:技術革新を要因として形成される特許権、営業秘密等
②人的資源に関する無形資産
:従業員等が経営、営業、生産、研究開発、販売促進等の企業活動における経験等を通じて形成したノウハウ等
③組織に関する無形資産
:生産工程、交渉手順及び開発、販売、資金調達等に係る取引網等
:技術革新を要因として形成される特許権、営業秘密等
②人的資源に関する無形資産
:従業員等が経営、営業、生産、研究開発、販売促進等の企業活動における経験等を通じて形成したノウハウ等
③組織に関する無形資産
:生産工程、交渉手順及び開発、販売、資金調達等に係る取引網等
上記の分類でもいいのですが、無形資産については、以下のように分類すると、議論がしやすいかもしれません。
無形資産の例は、今後、ケースでいっぱい見ていくので、今回は、まずはざっくり「無形資産とは?」というところまでです。
では、では。
■移転価格税制に関するトピックの一覧はこちら
この記事を書いたのは…
佐和 周(公認会計士・税理士)
現 有限責任 あずさ監査法人、KPMG税理士法人を経て、佐和公認会計士事務所を開設。専門は海外子会社管理・財務DD・国際税務など。東京大学経済学部卒業、英国ケンブリッジ大学経営大学院(Cambridge Judge Business School) 首席修了 (MBA)。詳細なプロフィールはこちら。
佐和 周(公認会計士・税理士)
現 有限責任 あずさ監査法人、KPMG税理士法人を経て、佐和公認会計士事務所を開設。専門は海外子会社管理・財務DD・国際税務など。東京大学経済学部卒業、英国ケンブリッジ大学経営大学院(Cambridge Judge Business School) 首席修了 (MBA)。詳細なプロフィールはこちら。