セミナー報告:財務DDの留意点についてお話ししました(日本監査役協会さん)
金曜日は、先週に引き続き、日本監査役協会(関西支部)さんの主催セミナーでお話ししました。
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「監査役等が押さえておきたいM&Aにおける財務デュー・デリジェンスの留意点」
テーマは「監査役等が押さえておきたいM&Aにおける財務デュー・デリジェンスの留意点」で、これが2回目です。
ご参加くださった監査役等の皆さま、ありがとうございました。
普段は同世代か少し上くらいの方向けのセミナーが多いのですが、やっぱりメインが監査役さんなので、喋っていても迫力を感じました。ただ、それと同時に、軽く頷いてくださったり、軽く微笑んでくださったり、温かく見守って頂いているような印象もあり(笑)、大人の余裕を感じました。
あ、1回目についての記事はこちらです。
(のれんの評価に関するKAMやのれんの減損注記に触れています)
当日お話した内容
お話した内容は色々ありますが、1つのポイントとして、「財務DDは単純に資産の含み損や簿外負債を探す作業ではない」という点があります。
例えば、財務DDの内容を見て、土地や有価証券などを時価評価することがメインになっていれば、それはあまりよくないことだと思います。
資産の評価でいうなら、買収対象会社のビジネスに直結する売上債権や在庫の評価のほうが圧倒的に重要です。こういった項目について詳細な調査をするなら、一定のビジネスの理解も必要ですね。
また、財務DDの後工程にはバリュエーション(価値算定・企業評価)があるので、買収対象会社の(正常)収益力と、その持続可能性については、財務DDでも深く検討すべきだと思います。これはDCFでもそうですし、マルチプルでも同じことです。
つまり、財務DDでは、ストック情報だけではなく、フロー情報を分析することも重要だということになります。
端的には、財務内容に問題がある会社を買収することはリスクですが、収益性の低い会社を買収するのも同じようにリスクです。収益が悪化すれば、結局将来の財務内容も悪化するはずなので。
そして、そういう状況はいずれも、のれんの減損として表れるってことですね。
日本監査役協会さんのウェブサイトで動画配信があります
上記のお話は、大枠として以下の書籍をベースにしています。
ただ、セミナーでは、監査役さん向けということで、少し大局的な視点でお話しました。
また、「財務DDで何をやっているか」という実務のお話も、多少はお伝えしたつもりです。
動画配信が予定されているようなので、ご関心がある方はぜひご覧ください。
ありがとうございました!
久々のセミナーでしたが、何とか2日程とも無事終えることができて一安心です。
ご参加くださった監査役等の皆さま、改めてありがとうございました。
また、感染防止対策でバタバタされながらも、いつもながら温かく迎えてくださった事務局の方々も、本当にありがとうございました!