1. HOME
  2. ブログ
  3. 普通の税務(色々)
  4. 税制改正
  5. 令和6年度税制改正大綱:子会社の資本金の1億円以下への設定への対応(事業税)

BLOG

佐和周のブログ

税制改正

令和6年度税制改正大綱:子会社の資本金の1億円以下への設定への対応(事業税)

先週金曜日に、令和6年度税制改正大綱が公表されました(こちら)。

気になったものを少しずつ書いています。

昨日に引き続き、事業税の外形標準課税のお話ですが、今回は、組織再編などの際の「子会社の資本金の1億円以下への設定」への対応について。

 

外形標準課税

改正の位置付けとしては、外形標準課税の適用対象法人のあり方についての制度的な見直しであり、大綱で挙げられている問題意識は以下による対象法人数の減少です。

(1) 資本金1億円以下への減資
(2) 組織再編等の際の子会社の資本金の1億円以下への設定

組織再編等の際の子会社の資本金の1億円以下への設定

昨日は(1)について書いたので、今日は(2)について。

背景としては、組織再編などの際に、子会社の資本金を1億円以下に設定することにより、外形標準課税の対象範囲から外す事例があるようです。

スポンサーリンク

 

大綱の内容

大綱の内容としては、「親会社の信用力等を背景に事業活動を行う子会社への対応」という位置付けで、以下の法人を外形標準課税の対象とするという感じです。

  • 資本金と資本剰余金の合計額が50億円を超える法人等の100%子法人等のうち、
  • 資本金が1億円以下であって、資本金と資本剰余金の合計額が2億円を超えるもの

より詳細には、以下のとおりです(産業競争力強化法のお話は除外してます)。

イ 資本金と資本剰余金の合計額が50億円を超える法人等(「特定法人」)の100%子法人等(注1)のうち、当該事業年度末日の資本金が1億円以下で、資本金と資本剰余金の合計額(注2)が2億円を超えるものは、外形標準課税の対象とする

(注1)特定法人との間に当該特定法人による法人税法に規定する完全支配関係がある法人及び100%グループ内の複数の特定法人に発行済株式等の全部を保有されている法人
(注2)公布日以後に、当該100%子法人等がその100%親法人等に対して資本剰余金から配当を行った場合においては、当該配当に相当する額を加算した金額

ロ(略)

ハ 上記イにより、新たに外形標準課税の対象となる法人について、外形標準課税の対象となったことにより、従来の課税方式で計算した税額を超えることとなる額のうち、次に定める額を、当該事業年度に係る法人事業税額から控除する措置を講ずる
(イ)令和8年4月1日から令和9年3月31 日までの間に開始する事業年度
…当該超える額に3分の2の割合を乗じた額
(ロ)令和9年4月1日から令和10年3月31日までの間に開始する事業年度
…当該超える額に3分の1の割合を乗じた額

上記の改正は、令和8年4月1日に施行し、同日以後に開始する事業年度から適用される見込みです。

今日はここまでです。

では、では。

この記事を書いたのは…
佐和 周(公認会計士・税理士)
現 有限責任 あずさ監査法人、KPMG税理士法人を経て、佐和公認会計士事務所を開設。専門は海外子会社管理・財務DD・国際税務など。東京大学経済学部卒業、英国ケンブリッジ大学経営大学院(Cambridge Judge Business School) 首席修了 (MBA)。詳細なプロフィールはこちら

 

関連記事

佐和周のブログ|記事一覧

スポンサーリンク