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資産除去債務:注記事項や注記例

今週は、私が苦手な資産除去債務のことを書いています。

色々とあって、会計基準を見返しているところです。

 

1. 注記事項

資産除去債務の会計処理に関連して、以下の事項の注記が求められています(重要性が乏しい場合を除く)。

(1) 資産除去債務の内容についての簡潔な説明
(2) 支出発生までの見込期間、適用した割引率等の前提条件
(3) 資産除去債務の総額の期中における増減内容
(4) 資産除去債務の見積りを変更したときは、その変更の概要及び影響額
(5) 資産除去債務は発生しているが、その債務を合理的に見積ることができないため、貸借対照表に資産除去債務を計上していない場合には、当該資産除去債務の概要、合理的に見積ることができない旨及びその理由

以下、少しだけ内容を見ていきます。

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2. 資産除去債務の内容についての簡潔な説明

上記(1)の「資産除去債務の内容についての簡潔な説明」においては、資産除去債務の発生原因となっている法的規制または契約等の概要(法令等の条項及び契約条件等)を簡潔に記載します。

内容としては、賃貸借契約の原状回復義務が多そうですけど、借地権とか有害物質(アスベスト・PCBなど)の除去なんかもそこそこありそうです。

ちなみに、超簡潔に盛りだくさんな内容を書いてある注記は以下のとおりです。

(資産除去債務関係)
 資産除去債務のうち連結貸借対照表に計上しているもの
(1)当該資産除去債務の概要
アスベスト除去費用、PCB除去費用、賃借事務所等原状回復費用、借地原状回復費用、土壌回復費用等であります。

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3. 支出発生までの見込期間、適用した割引率等の前提条件

上記(2)の「支出発生までの見込期間、適用した割引率等の前提条件」も割とさっぱり書いてあります。

上記と同じ会社の注記は以下のような感じです。

(2)当該資産除去債務の金額の算定方法
使用見込期間を、当該建物の減価償却期間(主に17年~43年)と見積り、割引率は当該減価償却期間に見合う国債の流通利回り(主に0.4%~2.3%)を使用して資産除去債務の金額を算定しております。

なお、この部分は、たまに「使用見込期間を経過している」みたいな注記もあって、結構見ごたえがあります(?)

4. 資産除去債務の総額の期中における増減内容

上記(3)の「資産除去債務の総額の期中における増減内容」については、シンプルに書くと、「期首残高+有形固定資産の取得に伴う増加額+時の経過による調整額-資産除去債務の履行による減少額±その他増減額=期末残高」みたいな感じだと思います。

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5. その他

上記(4)の「資産除去債務の見積りを変更したとき」の「その変更の概要及び影響額」の具体的な記載内容は、以下の記事をご参照ください。

会計上の見積りの変更といえば資産除去債務

また、上記(5)の資産除去債務を合理的に見積ることができない場合の「その旨及びその理由」の注記にあたっては、上記(1)の「資産除去債務の内容についての簡潔な説明」と関連付けて記載することが必要とされています。

具体的な記載内容は、以下の記事をご参照ください。

資産除去債務を合理的に見積ることができない場合の取扱い

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6. 注記の省略

資産除去債務については、仮にそれを認識していても、「重要性が乏しい」ことから注記を省略しているケースも多いんじゃないかと思います。

何も書いてないこともありますが、以下のようにさっぱり書いてあることもあります。

(資産除去債務関係)
重要性が乏しいため、記載を省略しております。

また、もうちょっと親切に書いてあることも。

(資産除去債務関係)
資産除去債務のうち連結貸借対照表に計上しているもの
 当社は、本社事務所等の不動産賃貸借契約に基づく退去時における原状回復義務及び石綿障害予防規則等に伴うアスベスト除去に係る費用等に伴う処理費用を資産除去債務として認識しておりますが、当該債務の総額に重要性が乏しいため、記載を省略しております。
 なお、一部の資産除去債務は、負債計上に代えて、不動産賃貸借契約に関連する敷金の回収が最終的に見込めないと認められる金額を合理的に見積り、当連結会計年度の負担に属する金額を費用に計上する方法によっております。

今日はここまでです。

では、では。

この記事を書いたのは…
佐和 周(公認会計士・税理士)
現 有限責任 あずさ監査法人、KPMG税理士法人を経て、佐和公認会計士事務所を開設。専門は海外子会社管理・財務DD・国際税務など。東京大学経済学部卒業、英国ケンブリッジ大学経営大学院(Cambridge Judge Business School) 首席修了 (MBA)。詳細なプロフィールはこちら

 

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