インボイス制度:対価を前受けした場合の適格請求書の交付時期
今週は、消費税のインボイス制度(適格請求書等保存方式)のことを書いてます。
2023年4月に国税庁の「消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&A」が改訂されたので(詳細はこちら)、そこで新たに追加された項目について。
今回のテーマは、対価を前受けした場合の適格請求書の交付時期です。
Table of Contents
1. Q&Aの設定(対価を前受けした場合)
Q&Aには、今回の改訂で、対価を前受けした場合の取扱いに関するQが追加されています。
具体的な設定は以下のとおりで、端的には、保守料金を前受けしている形です。
- システム保守を業としている
- 定期保守の代金(月額税込み22,000 円)は1年間分を保守開始前に相手方から支払ってもらう
- その請求書は、代金請求時に交付している
Qの内容は、「インボイス制度下で、この請求書をインボイス(適格請求書)としても問題ないかどうか」です。
2. 適格請求書の交付タイミング
前提として、適格請求書発行事業者には、国内において課税資産の譲渡等を行った場合に、相手方(課税事業者)からの求めに応じて適格請求書を交付する義務が課されています。
Q&Aによると、「課税資産の譲渡等を行う前であっても、適格請求書を交付することは可能」です。
そのため、上記の設定を前提にすると、(代金請求時の)請求書について、適格請求書として必要な事項を記載することにより、適格請求書とすることが可能です。
Aとしてシンプルに言うなら、「問題ない」ということですね。
3. 事後的に交付した適格請求書を修正する場合
ちなみに、(その後)課税資産の譲渡等を行った時において、交付した適格請求書の記載事項に変更が生じることとなった場合には、修正した適格請求書を交付する必要があります。
交付した適格請求書の修正方法等の詳細については、以下の記事をご参照ください。
今日はここまでです。
では、では。
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佐和 周(公認会計士・税理士)
現 有限責任 あずさ監査法人、KPMG税理士法人を経て、佐和公認会計士事務所を開設。専門は海外子会社管理・財務DD・国際税務など。東京大学経済学部卒業、英国ケンブリッジ大学経営大学院(Cambridge Judge Business School) 首席修了 (MBA)。詳細なプロフィールはこちら。