源泉徴収の際の「同一人に対し1回に支払われる金額」とは(源泉所得税)
今週は、源泉所得税のことを書いています。
普段のお仕事で取り扱っている非居住者等への支払いに関するものじゃなくて、シンプルに国内のお話(居住者への支払い)で、今回は、源泉徴収の際の「同一人に対し1回に支払われる金額」の意味合いについて。
Table of Contents
1. 二段階税率
税理士や公認会計士に支払う報酬については、源泉徴収の際の税率が20.42%の部分があります(例えば、税理士についてはこちら)。
端的には、「同一人に対し1回に支払われる金額が100万円を超える場合」には、その超える部分については、20.42%が適用されます。
つまり、基本的には支払いごとの判断なのですが、報酬をまとめて支払った場合など、ちょっと判断に迷うケースもあります。
2. 同一人に対し1回に支払われる金額
この点、通達では、「同一人に対し1回に支払われる金額」とは、同一人に対し1回に支払われる「べき」金額をいうこととされています。難しい(笑)
ただ、税率を乗じるべき金額の判定に当たっては、現実に1回に支払われる金額によって差し支えないこととされています。
なので、「差し支えない」のほうを使って、実務上は支払いごとに判断しているんじゃないでしょうか(私が請求書を作るときはそうしてます)。
3. 1つの契約で分割して支払う場合
支払い側の立場で判断に迷うのは、例えば、契約の全体が150万円で、うち50万円を前払いして、業務完了時に残額の100万円を支払うようなケースです。
結論としては、この場合、2回に分けて支払われているので、それぞれの支払いに10.21%の税率を適用する形でOKです(「合計で150万円」とは考えなくていい)。
上記の通達だと、あくまでも原則は、150万円に対して二段階税率を適用するんだと思いますが。
4. 複数の契約でまとめて支払う場合
もう1つ、同一の個人との複数の契約について、契約上で支払うべき金額がそれぞれ50万円と100万円で、それをまとめて(つまり、150万円)支払うようなケースもあります。
この場合も、それぞれに10.21%の税率を適用する形でOKです(たぶん)。
5. 受け取る側の立場でいうと
私は税理士報酬を受け取ることもあれば、公認会計士報酬を受け取ることもあります。
そういう受取側の立場で言うなら、どうせ確定申告で精算されるので、10.21%でも20.42%でも、どっちでもいいです。
受取側としては、支払側で源泉徴収漏れが生じない形のほうを望むことが多いんじゃないかと思います(よほど資金繰りに困っていたら別ですけど)。
まあ、私はあんまり詳しくないので、このへんは顧問税理士さんにご確認ください。
今日はここまでです。
では、では。
佐和 周(公認会計士・税理士)
現 有限責任 あずさ監査法人、KPMG税理士法人を経て、佐和公認会計士事務所を開設。専門は海外子会社管理・財務DD・国際税務など。東京大学経済学部卒業、英国ケンブリッジ大学経営大学院(Cambridge Judge Business School) 首席修了 (MBA)。詳細なプロフィールはこちら。