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グローバル・ミニマム課税:⑧法人税と地方法人税の申告・納付(大綱)

一昨日(2022年12月16日)、令和5年度与党税制改正大綱が公表されたので、そのうち「グローバル・ミニマム課税への対応」という項目について、1記事あたり10分で(W杯決勝開始から逆算)、少しずつ書いています。

端的には、GloBEルール(第2の柱)のうちIIRに関するお話で、今回は法人税と地方法人税の申告・納付がテーマです。

 

1. 対象会計年度

まず、法人税のほうから書きますが、各対象会計年度の国際最低課税額に対する法人税(仮称)について、「対象会計年度」については、多国籍企業グループ等の最終親会社等の連結財務諸表等の作成に係る期間とされています。

2. 税額の計算

各対象会計年度の国際最低課税額に対する法人税(仮称)の額は、各対象会計年度の国際最低課税額(課税標準)に100分の90.7の税率を乗じて計算した金額とされています。

つまり、以下の算式です。

各対象会計年度の国際最低課税額に対する法人税(仮称)
=各対象会計年度の国際最低課税額(課税標準)×90.7/100

設計としては、課税標準である国際最低課税額をトップアップするような形で、かつ、それを法人税と地方法人税で90.7:9.3に按分する感じです(地方法人税は下のほうに書きます)。

逆にいうと、法人住民税・法人事業税の課税はないようです。

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3. 申告及び納付等

大綱では、特定多国籍企業グループ等に属する内国法人の各対象会計年度の国際最低課税額に対する法人税(仮称)の申告及び納付は、各対象会計年度終了の日の翌日から1年3月(一定の場合には、1年6月)以内に行うものとされています。

ただし、当該対象会計年度の国際最低課税額(課税標準)がない場合は、申告を要しないこととされています。

4. その他

各対象会計年度の国際最低課税額に対する法人税(仮称)について、上記の他、大綱には以下の言及があります。

・青色申告制度の対象外
・更正の理由付記の対象
・推計課税の対象外
・質問検査、罰則等については、各事業年度の所得に対する法人税と同様
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5. 特定基準法人税額に対する地方法人税(仮称)

もう1つ、地方法人税について。

大綱によると、特定基準法人税額に対する地方法人税(仮称)については、以下のように税額を計算します。

(1) 特定基準法人税額に対する地方法人税(仮称)の額は、各課税対象会計年度の特定基準法人税額(課税標準)に907分の93の税率を乗じて計算した金額とする
(2) 特定基準法人税額は、各対象会計年度の国際最低課税額に対する法人税(仮称)の額とする(ただし、附帯税の額を除く)

算式で見ると、以下のとおりです。

特定基準法人税額に対する地方法人税(仮称)の額
=各対象会計年度の国際最低課税額に対する法人税(仮称)×93/907
=(各対象会計年度の国際最低課税額×90.7/100)×93/907
=各対象会計年度の国際最低課税額×9.3/100

なので、上で書いたとおり、法人税と地方法人税で90.7:9.3に按分する感じになります。

特定基準法人税額に対する地方法人税(仮称)の申告及び納付についても、各課税対象会計年度終了の日の翌日から1年3月(一定の場合には、1年6月)以内に行うものとされています。

今回はここまでです。

では、では。

この記事を書いたのは…
佐和 周(公認会計士・税理士)
現 有限責任 あずさ監査法人、KPMG税理士法人を経て、佐和公認会計士事務所を開設。専門は海外子会社管理・財務DD・国際税務など。東京大学経済学部卒業、英国ケンブリッジ大学経営大学院(Cambridge Judge Business School) 首席修了 (MBA)。詳細なプロフィールはこちら

 

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