タックス・ヘイブン対策税制(CFC税制)の見直し(令和5年度税制改正大綱)
今日(2022年12月16日)、令和5年度与党税制改正大綱が公表されました。
本業のことはあまり書かないことにしていますが、タックス・ヘイブン対策税制の見直しについては、なかなかいい感じなので、少しだけ書きます。
Table of Contents
1. 租税負担割合による制度適用免除の見直し(特定外国関係会社)
前提として、特定外国関係会社とは、以下に該当する外国関係会社をいいます。
(2) 事実上のキャッシュ・ボックス
(3) ブラックリスト国所在会社
特定外国関係会社は基本的に会社単位の合算課税の対象となるものの、租税負担割合による適用免除があり、現行制度では、租税負担割合が30%以上の場合には合算課税の対象になりません。
大綱では、この特定外国関係会社について、「租税負担割合が27%以上…である場合には、会社単位の合算課税の適用を免除する」とあるので、適用免除の基準が引き下げられることになります。
(1)と(2)は実務でも結構遭遇するので、米国子会社が多い企業なんかは、結構影響は大きそうですね。
2. 部分対象外国関係会社に関する添付書類の見直し
もう1つ、上記の特定外国関係会社とは全く別のお話です。
前提として、租税負担割合が20%未満の外国関係会社で、経済活動基準を充足して、部分対象外国関係会社と判定された場合は、受動的所得の合算課税の適用を受けるため、一定の別表や書類を確定申告書へ添付する必要があります。
大綱では、この部分対象外国関係会社について、申告書に添付することとされている書類の範囲から、以下の書類を除外する(つまり、添付せず保存するだけでいい)こととされています。
(2) 部分適用対象金額が2,000万円以下であること等の要件を満たすことにより本制度が適用されない部分対象外国関係会社
詳細はわからないですが、これ、今回の大綱で一番嬉しいかも。
先日も、この件で東京国税局から何回も電話がかかってきたし(局の担当の方、ごめんなさい)。
たぶんシンガポールとかに子会社がある企業の皆さんも同じ感想なんじゃないかと思います。
その他にも改正項目は挙がってますが、もういいです。
3. 適用時期
上記の改正は、内国法人の令和6年4月1日以後に開始する事業年度について適用することとされています。
もっと早くても全然いいんですけど…
今日はここまでです。
では、では。
佐和 周(公認会計士・税理士)
現 有限責任 あずさ監査法人、KPMG税理士法人を経て、佐和公認会計士事務所を開設。専門は海外子会社管理・財務DD・国際税務など。東京大学経済学部卒業、英国ケンブリッジ大学経営大学院(Cambridge Judge Business School) 首席修了 (MBA)。詳細なプロフィールはこちら。