インボイス制度:1万円未満の適格返還請求書の交付義務の見直し(令和5年度税制改正見込み)
週末ですが、この時期特有の税制改正のお話です。
令和5年度税制改正において、消費税のインボイス制度の関係では、電子帳簿保存法などとともに、「納税環境整備」の一環としての改正が入りそうです。
Table of Contents
1. 主要な改正見込項目(3つ)
項目としては3つあり、今回はその最後の項目です。
インボイス制度:課税売上高1,000万円以下の事業者の負担軽減措置(令和5年度税制改正見込み)
インボイス制度:課税売上高1億円以下の事業者の事務負担軽減措置(令和5年度税制改正見込み)
インボイス制度:1万円未満の適格返還請求書の交付義務の見直し(令和5年度税制改正見込み)
2. 前提となる知識
前提として、適格請求書発行事業者が、課税事業者に対して返品や値引き等(対価の返還等)を行う場合、適格「返還」請求書を交付する義務があります(以下の記事をご参照ください)。
3. 少額の適格返還請求書の交付義務の見直し
この適格返還請求書について、1万円未満の少額の値引き等に限って、交付を不要とする方向で見直しが検討されているようです。
改正の趣旨は、シンプルに事務負担の軽減です。
4. なぜ事務負担の軽減になるのか
これは結構インパクトがあるんじゃないかなと思います。
例えば、以下の記事にまとめたのですが、売手負担の振込手数料については、負担関係が契約で明らかになっていない場合、売手が「値引き」と整理するケースがあり、そうすると、売手に適格返還請求書の交付義務が生じて面倒なことになります。
適格返還請求書の交付義務の見直しにより、そういう意味のない事務負担がなくなるわけで、これは好意的に受け止められそうな気がします。
【2022年12月追記】
この内容は、そのまま令和5年度与党税制改正大綱に反映されています(以下の記事です)。
今日はとりあえずここまでです。
では、では。
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佐和 周(公認会計士・税理士)
現 有限責任 あずさ監査法人、KPMG税理士法人を経て、佐和公認会計士事務所を開設。専門は海外子会社管理・財務DD・国際税務など。東京大学経済学部卒業、英国ケンブリッジ大学経営大学院(Cambridge Judge Business School) 首席修了 (MBA)。詳細なプロフィールはこちら。