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監査役とコーポレートガバナンス・コード(CGコード)の関係

いつも日本監査役協会さんのセミナーがあるタイミングで、その週か月に監査役監査のことを書いているのですが(お断りなどはこちら)、今回は記事を上げてなかったので、忘れないうちに。

今日は、監査役とコーポレートガバナンス・コードの関係について、さっぱりと。

 

1. コーポレートガバナンス・コードとは

まず、コーポレートガバナンス・コード(CGコード)は、金融庁と東京証券取引所(東証)が共同で公表した「コーポレートガバナンス・コード原案」を基礎として、2015年に東証が公表したものです(直近では2021年に改訂されています)。

このコーポレートガバナンス・コードは、端的には、コーポレート・ガバナンス(企業統治)における原則を示したもので、上場企業に適用されます。

2 コーポレート・ガバナンスとは

上記のとおり、コーポレート・ガバナンスは「企業統治」と訳されますが、コーポレートガバナンス・コードにおける「コーポレート・ガバナンス」とは、会社が、株主をはじめ顧客・従業員・地域社会等の立場を踏まえた上で、透明・公正かつ迅速・果断な意思決定を行うための仕組みをいいます。

そして、「コーポレートガバナンス・コード」は、実効的なコーポレート・ガバナンスの実現に資する主要な原則を取りまとめたものです。

コーポレートガバナンス・コードにおける主要な原則が適切に実践されることは、それぞれの会社において持続的な成長と中長期的な企業価値の向上のための自律的な対応が図られることを通じて、会社、投資家、ひいては経済全体の発展にも寄与するものとされています。

よくわからないですが、とにかくそういうことです。

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3. コーポレートガバナンス・コードにおける監査役等の役割

コーポレートガバナンス・コードにおける監査役等の役割については、「原則4-4」に言及があります。

「監査役及び監査役会の役割・責務」という項目であり、その内容は概ね以下のとおりです。

  • 監査役及び監査役会は、取締役の職務の執行の監査、監査役・外部会計監査人の選解任や監査報酬に係る権限の行使などの役割・責務を果たすに当たって、株主に対する受託者責任を踏まえ、独立した客観的な立場において適切な判断を行うべき
  • 監査役及び監査役会に期待される重要な役割・責務には、業務監査・会計監査をはじめとするいわば「守りの機能」があるが、こうした機能を含め、その役割・責務を十分に果たすためには、自らの守備範囲を過度に狭く捉えることは適切でなく、能動的・積極的に権限を行使し、取締役会においてあるいは経営陣に対して適切に意見を述べるべき
  • 前者は至極当然のことですが、後者はなかなか大変な内容が書いてあります。

    また、「補充原則」の「4-4①」として、以下の内容も記載されています。

  • 監査役会は、会社法により、その半数以上を社外監査役とすること及び常勤の監査役を置くことの双方が求められていることを踏まえ、その役割・責務を十分に果たすとの観点から、前者に由来する強固な独立性と、後者が保有する高度な情報収集力とを有機的に組み合わせて実効性を高めるべき
  • 監査役または監査役会は、社外取締役が、その独立性に影響を受けることなく情報収集力の強化を図ることができるよう、社外取締役との連携を確保すべき
  • こっちは普通の内容です。

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    4. コーポレートガバナンス・コードに監査役が登場する文脈

    今のところ、大した内容は書いてないようにも思えるかもしれませんが、コーポレートガバナンス・コードにおいて、監査役等は色々な場面で登場しています。

    そのうち主なものを挙げると以下のとおりです。

  • 上場会社は、内部通報に係る体制整備の一環として、経営陣から独立した窓口の設置(例えば、社外取締役と監査役による合議体を窓口とする等)を行うべき(【原則2-5.内部通報】関係)
  • 監査役会は、少なくとも、外部会計監査人候補を適切に選定し、外部会計監査人を適切に評価するための基準を策定して、求められる独立性と専門性を有しているか否かについて確認すべき等々(【原則3-2.外部会計監査人】関係)
  • 監査役には、適切な経験・能力及び必要な財務・会計・法務に関する知識を有する者が選任されるべきであり、特に、財務・会計に関する十分な知見を有している者が1名以上選任されるべき
  • 社外監査役をはじめとする監査役は、その役割・責務を適切に果たすために必要となる時間・労力を監査役の業務に振り向けるべきであり、他の上場会社の役員を兼任する場合には、その数は合理的な範囲にとどめるべき等々(【原則4-11.取締役会・監査役会の実効性確保のための前提条件】関係)
  • 社外監査役を含む監査役は、法令に基づく調査権限を行使することを含め、適切に情報入手を行うべきであり、また、必要と考える場合には、会社の費用において外部の専門家の助言を得ることも考慮すべき(【原則4-13.情報入手と支援体制】関係)
  • 新任者をはじめとする監査役は、上場会社の重要な統治機関の一翼を担う者として期待される役割・責務を適切に果たすため、その役割・責務に係る理解を深めるとともに、必要な知識の習得や適切な更新等の研鑽に努めるべき(【原則4-14.取締役・監査役のトレーニング】関係)
  • 株主との実際の対話(面談)の対応者については、株主の希望と面談の主な関心事項も踏まえた上で、合理的な範囲で、経営陣幹部、社外取締役を含む取締役または監査役が面談に臨むことを基本とすべき(【原則5-1.株主との建設的な対話に関する方針】関係)
  • 上記は主なものなので、他にもいろいろあります。

    監査役に着目してコーポレートガバナンス・コードを読んだのは初めてですが、監査役の登場回数は意外に多かったです。そして、監査役さんからお仕事を頂いたのは、コードのおかげだったことにも気づきました(笑)

    でも、こうやって真面目に考えていくと、本当に大変なお仕事だなと思います。

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    5. まとめると

    まとめると、別にコーポレートガバナンス・コードがあるから、監査役が何かをしなければならないということはないです。

    ただ、コーポレート・ガバナンスの意味合いを考えると、コードでは、「透明・公正かつ迅速・果断な意思決定を行うための仕組みが適切に構築・運営されているか」について、取締役会と協働して、監督機能の一翼を担うことが期待されているということなんだと思います。

    今日はここまでです。

    では、では。

     

    監査役監査に関するオススメの書籍です(私の本ではないです。軽い紹介記事はこちら)。

     

    この記事を書いたのは…
    佐和 周(公認会計士・税理士)
    現 有限責任 あずさ監査法人、KPMG税理士法人を経て、佐和公認会計士事務所を開設。専門は海外子会社管理・財務DD・国際税務など。東京大学経済学部卒業、英国ケンブリッジ大学経営大学院(Cambridge Judge Business School) 首席修了 (MBA)。詳細なプロフィールはこちら

     

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