インボイス制度:免税事業者に対して登録を取引条件とすることの可否
今日は、消費税のインボイス制度(適格請求書等保存方式)のことを書きます。
調べ物の過程で興味深いQを見つけたので、それについて。
Table of Contents
1. 消費税インボイス制度の実務とQ&A
調べ物で見ていたのは、以下の『消費税インボイス制度の実務とQ&A』という本です。
当局の人が書いたものです。私見という位置付けなんでしょうけど。
2. 免税事業者との取引にあたって登録を取引条件することの可否
興味深いQは、以下のとおりです。
インボイス制度導入後、免税事業者からの仕入れについては、仕入税額控除の適用を受けることができないとのことであるが、例えば、「インボイス発行事業者であること」を取引条件としてよいのか。
個人的には、何のためにそんなことをするのか、よくわかりません。
いちいち適格請求書発行事業者かどうかを確認するのがめんどくさいんですかね。
これ、どういうふうに答えるのかなと思ったのですが…
3. さっぱりとした回答(=可)
これに対するAは、一応「可」ということみたいです。
端的には、事業者がどの相手方とどのような条件で取引を行うかについては、基本的に相手方との自由な交渉及び当事者の自主的な判断に委ねられるから、ということです。
「独占禁止法といった関連法令の規定に留意が必要」という留保は付いてますけど、免税事業者である取引先に対しては、適格請求書発行事業者の登録手続をするよう働きかける(こちら)だけじゃなくて、「適格請求書発行事業者であること」を契約(取引)条件とすることも可みたいです。
繰り返しますが、何のためにそんなことをするのかはわかりません。
今日はここまでです。
では、では。
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佐和 周(公認会計士・税理士)
現 有限責任 あずさ監査法人、KPMG税理士法人を経て、佐和公認会計士事務所を開設。専門は海外子会社管理・財務DD・国際税務など。東京大学経済学部卒業、英国ケンブリッジ大学経営大学院(Cambridge Judge Business School) 首席修了 (MBA)。詳細なプロフィールはこちら。