監査役と会計監査人の関係
今週は、日本監査役協会さんのセミナーがあるので(詳細はこちら)、思い出したように監査役監査のことを書きます(お断りなどはこちら)。
今回は、監査役と会計監査人の関係について、さっぱりと。
Table of Contents
1. 会計監査人とは
まず、会計監査人も監査役(会)と同じく、株式会社における機関の1つです。
大会社では、会計監査人を設置する必要がありますが(監査等委員会設置会社なども)、会計監査人になれるのは、公認会計士か監査法人だけです。
会計監査人は、その名のとおり、会社の計算関係書類(計算書類+その附属明細書、連結計算書類など)の「会計監査」を行います。
2. 監査役と会計監査人の関係
会計監査人は、株主総会の決議によって選任され、また、株主総会の決議によって解任されます。
ただし、株主総会に提出する会計監査人の選任及び解任並びに会計監査人を再任しないことに関する議案の内容は、監査役が決定することとされています。
また、監査役は、会計監査人が以下のいずれかに該当するときは、その会計監査人を解任することができます。
非行(笑)
なお、会計監査人の報酬を定める場合にも監査役の同意が必要です。
なので、何となく監査役が上司のような雰囲気があります。
3. 監査役と会計監査人の役割分担
以下の記事で書きましたが、会計監査については会計監査人が担当します。
そして、監査役は会計監査人の会計監査の相当性を判断する立場です。
流れとしては、まず会計監査人が計算関係書類の適正性について監査意見を表明します。
そして、監査役は、自らの監査を通じて得た監査結果に照らして、その会計監査人の監査意見が「相当」であるか否かを判断するということです。
ただ、実際には事前のコミュニケーションも重要です。
監査役の立場では、会計や監査の技術的な部分は、会計監査人に頼らざるを得ない面もありますが、会社の実情については、会計監査人よりも詳しいはずです。なので、両者の連携が求められるということですね。
4. 会計監査人の監査の方法と結果が「相当」って?
話を戻すと、会計監査人の監査意見が「相当」であるか否かを判断するのって、なかなか大変ですよね。いつも、どうやって「相当」と判断されているのかなと思っていました。
以下の記事でオススメしている『監査役監査の基本がわかる本』(EY新日本有限責任監査法人 編)という書籍では、最後のほうのQ&Aに「会計監査人の監査の方法と結果を「相当」と認める、「相当」とは?」というQがあります。
このQに対するAでは、まず、「監査役が取るべき対応」として、以下の2つを挙げています。
②監査役が計算書類等の意味がわかる最低限の会計の知識を身につけるとともに、会計監査人の会計監査に任せきりにするのではなく、監査役も監査役の視点から決算書を監査し、決算書を理解すること
「計算書類等の意味がわかる最低限の会計の知識」って、書いてしまっても大丈夫な内容なんでしょうか? もうちょっと別の言い方ないですか?
そういう正直なところも、上記の本がオススメな理由です(笑)
その他、色々と書いてあるのですが、それらを読んで私が出した結論としては、「どうやって「相当」と判断したらいいのかは、やっぱりよくわからない」ということです。
ただ、実態について言うなら、会計監査人と定期的な会合をもつなど、コミュニケーションを密にしておくのは重要なんでしょうね。
「計算書類等の意味がわかる最低限の会計の知識」という表現の衝撃を引きずったまま、今日はここまでです。
では、では。
↓監査役監査に関するオススメの書籍です(私の本ではないです。軽い紹介記事はこちら)。
佐和 周(公認会計士・税理士)
現 有限責任 あずさ監査法人、KPMG税理士法人を経て、佐和公認会計士事務所を開設。専門は海外子会社管理・財務DD・国際税務など。東京大学経済学部卒業、英国ケンブリッジ大学経営大学院(Cambridge Judge Business School) 首席修了 (MBA)。詳細なプロフィールはこちら。