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電子帳簿保存法

電子帳簿保存法(電子取引):売上高1,000万円以下で検索機能が不要になる場合

今日も電子帳簿保存法における電子取引の制度のお話です。

今回は、国税庁の電子帳簿保存法Q&A(一問一答)【電子取引関係】をもとに、電子取引の取引データを保存する際に必要になる検索機能の確保について書きます。

具体的には、基準期間の売上高が1,000万円以下の場合の取扱いです。

0. この記事のポイント

電子取引のデータ保存に係る要件の1つに検索機能の確保がありますが、基準期間における売上高が1,000万円以下の事業者については、検索機能の確保は不要になります(税務職員のダウンロードの求めに応じる前提)。この場合、基準期間の売上高が1,000万円以下かどうかは、ざっくり言うと、消費税の納税義務の判定と同じような感じで判断します。

 

 

1. 検索機能の確保

電子取引の取引データの保存(電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存等)の際の要件のうち、検索機能の確保については、以下の記事にまとめました。

 

具体的には、以下の要件を満たす検索機能を確保する必要があります。

① 「取引年月日等」・「取引金額」・「取引先」を検索の条件として設定することができること
② 日付または金額に係る記録項目については、その範囲を指定して条件を設定することができること
③ 二以上の任意の記録項目を組み合わせて条件を設定することができること

ただし、電磁的記録について、税務職員による質問検査権に基づくダウンロードの求めに応じることができるようにしている場合には、②及び③の要件は不要となります。

しかも、この場合で、判定期間に係る基準期間における売上高が1,000万円以下の事業者については全ての検索機能の確保の要件が不要となります。

この検索機能の確保は、システム対応できていないと、充足するのが大変です。なので、検索機能の確保の要件が不要になれば、超ラッキーだと思います。

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2. 基準期間の売上高が1,000万円以下かどうかの判定

ということで、次に、具体的な判定です。

この場合の「判定期間に係る基準期間の売上高が1,000万円以下」かどうかは、以下の売上高を基礎として判断します。

個人事業者
電子取引が行われた日の属する年の「前々年」の1月1日から12月31日までの期間の売上高
法人
電子取引が行われた日の属する事業年度の「前々事業年度」(注)の売上高

(注)前々事業年度が1年未満である法人については、その事業年度開始の日の2年前の日の前日から同日以後1年を経過する日までの間に開始した各事業年度を合わせた期間

消費税と同じような感じですね。

国税庁の電子帳簿保存法Q&A(一問一答)【電子取引関係】では、判定期間に係る基準期間がない新規開業者、新設法人の初年(度)、翌年(度)の課税期間などについては、検索機能の確保の要件は不要とされています。

【2022年7月追記】
2022年6月のQ&A(一問一答)の改訂(詳細はこちら)により、「規則第4条第1項は「売上高」と規定していることから営業外収入や雑収入を含んでおらず、結果として、消費税法上の「課税売上高」とはその内容を異にしています」という注意事項が追加されました。なるほど。

今日はここまでです。

では、では。

電子帳簿保存法に関するオススメの書籍です(私の本ではないです。第2版の紹介記事はこちら)。

第3版 電子帳簿保存法の制度と実務(Amazon)

 

■電子帳簿保存法の電子取引に関する記事の一覧はこちら

 

この記事を書いたのは…
佐和 周(公認会計士・税理士)
現 有限責任 あずさ監査法人、KPMG税理士法人を経て、佐和公認会計士事務所を開設。専門は海外子会社管理・財務DD・国際税務など。東京大学経済学部卒業、英国ケンブリッジ大学経営大学院(Cambridge Judge Business School) 首席修了 (MBA)。詳細なプロフィールはこちら

 

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