海外子会社往査で見ておきたいこと ④簿外借入れ
先週に引き続き、海外子会社に往査したときに、不正リスク対応の観点から見ておきたいポイントについて書きます(往査主体については特定しません)。
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海外子会社不正の本
少し前(2026年5月)に海外子会社不正の本を書きました(↓)
この本は、タイトルのとおり、海外子会社における不正(や誤謬)などの事例をコンパクトに解説するものですが、そのなかに「ケース19:借入金や買掛金を簿外処理する」というケースがあります。
ケース19:借入金や買掛金を簿外処理する
事例の概要は、以下のとおりです。
本事例は、フィリピン子会社S社において、財務・経理部門の責任者を務めていたX氏により、(1)簿外借入れ、(2)買掛金の過少計上、(3)棚卸資産の過大計上という3つの不正が行われていたものである。
事例のポイント
本事例では、S社において、a銀行からの簿外借入れがありました(帳簿上は借入れなし)。
で、偶然、そのa銀行への借換えの相談をしたことが契機となって、「借入れがないはずのa銀行に、実際には借入残高があったこと」が判明しています。
通常は取引のない銀行に借入残高は照会しないので、仮に簿外借入金が取引のない銀行からのものであれば、発見は難しいですよね。
海外子会社往査で見ておきたいこと
海外子会社往査で、簿外借入金が見つけられるとは思いません(この事例に限っていうなら、結構アクロバティックなことをやっているので、仕訳テストで見つけられそうな気もしますけど)。
ただ、簿外借入金を簿外のままにできるというのは、何らかの管理上の問題を示唆している気がします。
例えば、上記の事例では、S社の歴代社長については、親会社から海外駐在経験を有する人材が派遣されていた一方、財務・経理部門については、親会社から駐在員が派遣されたことはなかったようです。
現地でだいたいの管理状況はつかめると思いますし、そのなかでも駐在員がどんな感じか(どのくらい数字のことを知っているか)はよく見ておいたほうがいいと思います。
それに限らず、海外子会社往査で「なんか不安だな」と思ったことは、掘り下げたほうがいいと個人的には考えています。
ちなみに、調査報告書によると、S社の場合、そもそも財務・経理関連資料から銀行ごとの正確な借入金残高(そもそもの帳簿残高)が把握できなかったようなので、そういう管理状況だったのかもしれません。
今日はここまでです。
では、では。