電子帳簿保存法(電子取引):検索機能等の保存要件の緩和(令和5年度税制改正大綱)
今日(2022年12月16日)、令和5年度与党税制改正大綱が公表されました。
改正見込み事項のうち、普段このブログで取り扱っている項目だけ、適当に書こうと思います。
もう1つ、電子取引のデータ保存(取引情報に係る電磁的記録の保存)の制度について。
Table of Contents
1. 検索機能の確保の要件(現状)
電子取引のデータ保存について、現状の検索機能の確保の要件は以下のとおりです。
また、現状は、売上高基準(1,000万円以下)等の要件を満たせば、全ての検索機能の確保の要件が不要となる場合もあります(以下の記事参照)。
2. 検索機能の確保の要件(見直し)
大綱では、このような検索機能の確保の要件について、見直しに言及されています。
具体的には、「検索要件の全てを不要とする措置」(保存義務者が国税庁等の職員の質問検査権に基づく電磁的記録のダウンロードの求めに応じることができるようにしている場合)について、対象者を以下に変更するようです。
(2) 電磁的記録の出力書面(要件あり)の提示または提出の求めに応じることができるようにしている保存義務者
それぞれ、簡単に見ていきます。
(1) 売上高基準の見直し:1,000万円以下→5,000万円以下
上記(1)については、全ての検索機能の確保の要件が不要となる売上高基準が「1,000万円以下」から「5,000万円以下」に引き上げられるというお話です。
(2) 売上高基準関係なしの要件緩和
一方、上記(2)を整理すると、以下の求めに応じることができるようにしていれば、検索要件の全てが不要になるということのようです。
・電子データの出力書面(一定の要件あり)の提示または提出の求め
特に猶予措置という位置付けでもなさそうですし、「書面があれば検索機能の確保不要」ということで、電子取引のデータ保存制度の根本を否定するような措置に見えます。
3. その他の保存要件の見直し
もう1つ、電子取引の取引データに係る保存要件について、「電磁的記録の保存を行う者等に関する情報の確認要件」も廃止されています。
4. 適用時期
上記の改正は、令和6年1月1日以後に行う電子取引の取引情報に係る電磁的記録について適用することとされています。
この話題はここまでです。
では、では。
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佐和 周(公認会計士・税理士)
現 有限責任 あずさ監査法人、KPMG税理士法人を経て、佐和公認会計士事務所を開設。専門は海外子会社管理・財務DD・国際税務など。東京大学経済学部卒業、英国ケンブリッジ大学経営大学院(Cambridge Judge Business School) 首席修了 (MBA)。詳細なプロフィールはこちら。