監査役が行う会計監査と業務監査とは
今月は、日本監査役協会さんのセミナーがあるので(詳細はこちら)、少しの間、監査役監査のことを書いてます(お断りなどはこちら)。
今回は、監査役が行う会計監査と業務監査について、さっぱり書きます。
Table of Contents
1. 会計監査
監査役が行う会計監査とは、端的には、会社が作成した計算書類等の監査です。
(1) 計算書類等
計算書類は、貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書及び個別注記表で構成されます。また、計算書類には、附属明細書もあって、さらに、有価証券報告書を提出する大会社の場合、連結計算書類もあります。
ちなみに、事業報告(及びその附属明細書)は、計算書類には含まれませんが、監査役監査の対象にはなります。
(2) 会計監査人がいる場合
会計監査人設置会社の場合、計算書類及び計算書類の附属明細書は会計監査人の監査の対象となります(事業報告及び事業報告の附属明細書は対象外)。あ、連結計算書類があれば、それも対象です。
なので、会計監査については会計監査人が担当し、監査役は会計監査人の会計監査の相当性に関する判断を行う立場になります。とはいえ、社外監査役に(ちゃんとした)会計士の人とかがいないと、現実にはそういう判断は難しいかもしれません。
2. 業務監査
監査役が行う業務監査とは、会計に関する事項以外の事項のすべての監査です。
本当にすべてです。これが、個人的に「監査役さんってすごいな」と思うところです。
販売・購買・製造といったメインの事業から、管理系の人事やITも含めて、すべてです。なので、実際のところは、不得意分野は「何をやっているのか」を把握するだけでも大変だろうなと思います。
業務監査の場合、その主眼は執行側に法令違反がないか、つまり、適法性監査っぽいものだとは思うのですが、実際には業務の改善なんかも提案されていますよね。
社外監査役は非常勤が多いと思いますが、日常的に監査業務を行っておられる常勤監査役の方々とお話ししていると、取締役会以外にも色んな会議に出席されたり、支店や子会社などの色んな場所に出向かれたり、各部署の稟議書(一覧)をご覧になっていたり。。。
そんな状況で、私がお話しする、例えば、海外子会社の月次決算のことまで気にされているわけで、いつも人智を超えたスキルを要求されているような印象を受けます(お疲れ様です)。
もちろん、実際には監査役スタッフがいたり、内部監査部門も頑張って業務監査をやったりしているので、孤独な業務監査というわけではないですが、それでも、ただただ大変だなと思います。
今回はここまでです。
では、では。
↓監査役監査に関するオススメの書籍です(私の本ではないです。軽い紹介記事はこちら)。
佐和 周(公認会計士・税理士)
現 有限責任 あずさ監査法人、KPMG税理士法人を経て、佐和公認会計士事務所を開設。専門は海外子会社管理・財務DD・国際税務など。東京大学経済学部卒業、英国ケンブリッジ大学経営大学院(Cambridge Judge Business School) 首席修了 (MBA)。詳細なプロフィールはこちら。