電子帳簿保存法(電子取引):システム概要書の備付け
今日も電子帳簿保存法における電子取引の制度のお話です。
今回は、自社開発のプログラムを使用する場合に必要になるシステム概要書の備付けについて、簡単に書きます。
Table of Contents
0. この記事のポイント
1. 電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存
2022年(令和4年)1月1日以後に行う電子取引の取引情報については、データのまま保存する必要があります(そのデータを出力した書面等の保存は不可)。
しかも、データの保存(電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存等)にあたっては、以下の4つの要件を満たす必要があります。
(2) 電子計算機処理システムの概要を記載した書類の備付け(自社開発のプログラムを使用する場合)
(3) 見読可能装置の備付け等
(4) 検索機能の確保
このあたりは以下の記事にまとめました。
2. システム概要書の備付け
このうち、(2) 電子計算機処理システムの概要を記載した書類の備付けについては、自社開発のプログラムを使用する場合に必要になります。
逆にいうと、自社開発のプログラムでなければ、備付けは不要です。
施行規則には、「国税関係帳簿に係る電子計算機処理システムの概要を記載した書類」と書いてあって、取扱通達には、「システム全体の構成及び各システム間のデータの流れなど、電子計算機による国税関係帳簿書類の作成に係る処理過程を総括的に記載した書類」と書いてあります。
また、取扱通達では、「例えば、システム基本設計書、システム概要書、フロー図、システム変更履歴書などの書類」と例示されているので、そういうものを備え付けておけばOKということです。
3. システム概要書は書面でなくてもOK
ちなみに、「システム概要書の備付け」と言われると、書面(紙)で備え付けておかないといけないように聞こえますが、そんなことはありません。
取扱通達では、画面及び書面に、速やかに出力することができることを条件として、書面以外の方法により備え付けることも認めるとしています。
そのため、いわゆるオンライン・マニュアルやヘルプ機能にシステム概要書と同等の内容が組み込まれている場合には、システム概要書が備え付けられているものとして取り扱えるということです(上記の条件を満たしている前提)。
今日はここまでです。
では、では。
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佐和 周(公認会計士・税理士)
現 有限責任 あずさ監査法人、KPMG税理士法人を経て、佐和公認会計士事務所を開設。専門は海外子会社管理・財務DD・国際税務など。東京大学経済学部卒業、英国ケンブリッジ大学経営大学院(Cambridge Judge Business School) 首席修了 (MBA)。詳細なプロフィールはこちら。