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インボイス制度:基準期間の課税売上高が1,000万円以下になったら?

前回に引き続き、消費税のインボイス制度(適格請求書等保存方式)についてです。

0. この記事のポイント

基準期間における課税売上高が1,000万円以下の事業者は、原則として、免税事業者となります。しかしながら、適格請求書発行事業者の登録を受けている事業者については、基準期間における課税売上高が1,000万円以下になった場合でも、登録の取消しを求める旨の届出書を税務署に提出しない限りは、免税事業者となりません。

 

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1. 事業者免税点制度

基準期間における課税売上高が1,000万円以下の事業者は、原則として、消費税の納税義務が免除され、免税事業者となります(いわゆる「事業者免税点制度」)。

免税事業者がインボイス制度の導入によって受ける影響については、以下の記事をご参照ください。

 

ここからは、もともと課税事業者だったものの、基準期間における課税売上高が1,000万円以下になった場合の取扱いを確認します。

2. 基準期間における課税売上高が1,000万円以下になった場合

早速ですが、適格請求書発行事業者の登録を受けている事業者について、基準期間における課税売上高が1,000万円以下になった場合、どうなるでしょうか?

現行制度の感覚では、自動的に免税事業者になりそうな気もします。

しかしながら、適格請求書発行事業者は、その基準期間における課税売上高が1,000万円以下となった場合でも免税事業者となりません。つまり、登録の取消しを求める旨の届出書を税務署に提出しない限りは(あるいは、悪いことをして登録を取り消されない限りは)、適格請求書発⾏事業者というステイタスのままということです。

正確ではないですが、「適格請求書発行事業者の登録≒課税選択」というイメージですね。

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3. なぜそうなるか

これは、単純な話で、事業者免税点制度の適用対象者から、適格請求書発行事業者が除外されているからです。

具体的な消費税法の規定は以下です(下線は追加)。

(小規模事業者に係る納税義務の免除)
第九条 事業者のうち、その課税期間に係る基準期間における課税売上高が千万円以下である者(適格請求書発行事業者を除く。)については、第五条第一項の規定にかかわらず、その課税期間中に国内において行つた課税資産の譲渡等及び特定課税仕入れにつき、消費税を納める義務を免除する。ただし、この法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。
(以下略)

趣旨としては、いったん適格請求書発行事業者として登録を受けた事業者が、基準期間における課税売上高によって、何らの手続きを行うことなく免税事業者となるのは困るということです。

誰が困るかというと、その事業者から請求書等(適格請求書等)を受け取る他の事業者です。仕入税額控除制度の適用関係が不安定になるからですね。

今日はここまでです。

では、では。

■インボイス制度に関する記事の一覧はこちら

 

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この記事を書いたのは…
佐和 周(公認会計士・税理士)
現 有限責任 あずさ監査法人、KPMG税理士法人を経て、佐和公認会計士事務所を開設。専門は海外子会社管理・財務DD・国際税務など。東京大学経済学部卒業、英国ケンブリッジ大学経営大学院(Cambridge Judge Business School) 首席修了 (MBA)。詳細なプロフィールはこちら

 

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