1. HOME
  2. ブログ
  3. 国際税務
  4. グローバル・ミニマム課税
  5. グローバル・ミニマム課税(Pillar2)のミニマム知識
BLOG

佐和周のブログ

グローバル・ミニマム課税

グローバル・ミニマム課税(Pillar2)のミニマム知識

これから少しの間、不定期でグローバル・ミニマム課税について書いていきます。

 

最低限の知識

グローバル・ミニマム課税については、もういい本が出ているので(こちら)、このブログでは「制度の枠組みを理解する上での最低限の知識」をお伝えすることを目標にしたいと思います。

そのため、「日本に最終親会社等があって、海外にいくつか構成会社等がある」というシンプルな状況を想定します。逆に、共同支配会社等や恒久的施設等など、あるとめんどくさいものは余裕で無視します。持分法適用の非連結子会社はどう扱うんだ?みたいな話もしません(笑)

今後の進め方

ということで、まずは書こうと思っていることの全体像を以下にまとめます。

これを目次的な位置付けにして、関連する記事を書くごとに、ここにリンクを付けていこうと思います。

うまく書けたら、加筆してKindleで本にするかもしれません。

が、更新は不定期になる可能性が高いうえ、何となく途中でやめそうな気もするので、忍耐力のある方だけお付き合いいただければと思います。

スポンサーリンク

 

全体像

最初に前提となる知識について少し書きます。

前提:主要な登場人物や納税義務者について

1. 主要な登場人物

2. 納税義務者と申告・納付 

ここからは計算手順ですが、まずはその前に、特定多国籍企業グループ等の範囲を特定します。

Ⅰ. 特定多国籍企業グループ等の判定について

1. 企業グループ等

2. 多国籍企業グループ等

3. 特定多国籍企業グループ等

スポンサーリンク

 

次に、Ⅰで特定した特定多国籍企業グループ等に属する各構成会社等の所得金額を計算します。「特定した特定多国籍企業グループ等」って、変な日本語ですけど。ここは個社別の計算です。

Ⅱ. 各社の個別計算所得等の金額の計算について

個別計算所得等の金額の計算の概要

Ⅱ-1. 当期純損益金額の計算

1. 当期純損益金額の計算の概要(個別P/L数値→税引後当期純損益金額)

2. GAAP差異の調整(最終親会社等財務会計基準への調整)

Ⅱ-2. 税引後当期純損益金額に対する調整(→当期純損益金額)

1. 当期純損益金額計算時の主な調整項目

2. 独立企業間価格に基づく調整

3. 資産または負債の移転損益に関する調整

4. プッシュダウン会計が適用される場合の調整

5. 恒久的施設等の当期純損益金額の調整

6. 本店と恒久的施設等との間の当期純損益金額の調整

7. 導管会社等に係る当期純損益金額の特例

8. 各種投資会社等に係る当期純損益金額の特例

9. 移行対象会計年度前のグループ内取引等に係る当期純損益金額の調整

Ⅱ-3. 当期純損益金額から個別計算所得等の金額を計算するための調整項目(全体像)

「当期純損益金額→個別計算所得等の金額」の調整の全体像

Ⅱ-4. 調整① 原則的な調整項目(→特例適用前個別計算所得等の金額)

「特例適用前個別計算所得等の金額」計算のための調整項目

1. 税金費用純額

2. 除外配当

3. 除外資本損益(時価評価損益、持分法損益、譲渡損益)

4. 再評価によって含められる損益(有形固定資産の時価評価損益)

5. 非対称外国為替差損益

6. 政策上の否認費用

7. 過年度の誤びゅうの訂正及び会計処理の基準の変更

8. 発生年金費用(収益)

9. 適格給付付き税額控除額及び適格適用者変更税額控除額など

10. グループ内金融取決めに係る費用

Ⅱ-5. 調整② 選択適用が認められている調整項目

1. 連結等納税規定の適用がある場合の個別計算所得等の金額の計算の特例

2. 株式報酬費用額に係る個別計算所得等の金額の計算の特例

3. 資産等の時価評価損益に係る個別計算所得等の金額の計算の特例

4. 不動産の譲渡に係る個別計算所得等の金額の計算の特例

5. 一定のヘッジ処理に係る個別計算所得等の金額の計算の特例

6. 一定の利益の配当に係る個別計算所得等の金額の計算の特例

7. 債務免除等を受けた場合の個別計算所得等の金額の計算の特例

8. 資産等の時価評価課税が行われた場合の個別計算所得等の金額の計算の特例

9. 除外資本損益に係る個別計算所得等の金額の計算の特例

Ⅱ-6. 調整③ 特定の業種に適用される調整項目

1. 国際海運業所得

2. 保険会社に係る個別計算所得等の金額の計算

3. 銀行等に係る個別計算所得等の金額の計算

Ⅱ-7. 調整④ 個別計算所得等の金額の減額等の調整

1. 恒久的施設等を有する構成会社等に係る個別計算所得等の金額の計算の特例

2. 課税分配法を適用する各種投資会社等に係る計算の特例

3. 導管会社等である最終親会社等の特例

4. 配当控除所得課税規定の適用を受ける最終親会社等の特例

スポンサーリンク

 

Ⅰで特定した特定多国籍企業グループ等に属する各構成会社等の税額を計算します。ここも個社別の計算です。位置付けとしては、Ⅱが所得の話、Ⅲが税金の話です。

Ⅲ. 各社の調整後対象租税額について

Ⅲ-1. 対象租税

Ⅲ-2. 調整後対象租税額(全体像)

Ⅲ-3. 当期対象租税額

1. 加算額

2. 減算額

Ⅲ-4. 被配分当期対象租税額(当期対象租税額に含まれる)

1. プッシュダウン

2. プッシュアップ

Ⅲ-5. 繰延対象租税額

1. 当期純損益金額の調整に対応する調整

2. 当期純損益金額に係る法人税等調整額に対する調整(→調整後法人税等調整額)

3. 取戻繰延税金負債の取扱い

4. 加算額

5. 減算額

6. 移行対象会計年度より前に生じた繰延税金資産または負債の戻し入れの取扱い

Ⅲ-6. OCIに含まれる対象租税の額

Ⅲ-7. 調整後対象租税に関連する特例

スポンサーリンク

 

Ⅱで計算した所得(個別計算所得等の金額)とⅢで計算した税額(調整後対象租税額)をそれぞれ国ごとに集計し、割り算で国別の実効税率を算定します。この国別実効税率が15%(基準税率)に満たない部分が、不足税率という位置付けです。

Ⅳ. 国別実効税率について

1. 国別計算(国別グループ純所得の金額と国別調整後対象租税額の計算)

2. 国別実効税率の計算 

不足税額(当期国別国際最低課税額)の計算にあたっては、Ⅳの不足税率を所得(国別グループ純所得の金額)に乗じればよいわけですが、実際に乗じる対象は、「国別グループ純所得の金額-実質ベースの所得除外額」です。つまり、控除すべき実質ベースの所得除外額を計算しておく必要があります。

Ⅴ. 実質ベースの所得除外額について

1. 特定費用

2. 特定資産

スポンサーリンク

 

上記の当期国別国際最低課税額は、あくまでも当期分の国別の不足税額なので、過去分の調整(再計算国別国際最低課税額)なども加味して、グループ国際最低課税額を計算します。あとはこの国別の不足税額を所得比で各構成会社等に配分して会社等別国際最低課税額を計算し、最後に最終親会社等の保有割合的なもの(帰属割合)を乗じて、(内国法人の)国際最低課税額を計算するという流れです。

Ⅵ. 国際最低課税額の計算について

Ⅵ-1. グループ国際最低課税額

1. 当期国別国際最低課税額

2. 再計算国別国際最低課税額

3. 未分配所得国際最低課税額

4. 永久差異調整のための国際最低課税額

5. 自国内国際最低課税額に係る税(QDMTT)

Ⅵ-2. 会社等別国際最低課税額

Ⅵ-3. (内国法人の)国際最低課税額

スポンサーリンク

 

あとは、セーフ・ハーバーと情報申告についても、軽く書く予定です。

Ⅶ. セーフ・ハーバーについて

Ⅶ-1. 恒久的適用免除(デミニマス除外)

Ⅶ-2. 移行期間CbCRセーフ・ハーバー

Ⅶ-3. 自国内最低課税額に係る税に関する適用免除基準

Ⅷ. 情報申告制度について

ということで、上記のような内容を移動時間に(「孤独のグルメ」を見ながら)少しずつ書いていきたいと思います。

ただ、いま全体像を書いてみて思ったのですが、たぶんすぐには書けないです(「孤独のグルメ」を見ながらなので)。ということで、ぜひ気長にお付き合いください。

では、では。

この記事を書いたのは…
佐和 周(公認会計士・税理士)
現 有限責任 あずさ監査法人、KPMG税理士法人を経て、佐和公認会計士事務所を開設。専門は海外子会社管理・財務DD・国際税務など。社外監査役(東証プライム&スタンダード上場企業)。東京大学経済学部卒業、英国ケンブリッジ大学経営大学院(Cambridge Judge Business School) 首席修了 (MBA)。詳細なプロフィールはこちら

 

関連記事

佐和周のブログ|記事一覧
スポンサーリンク