インボイス制度:免税事業者が令和11 年9月30 日までの日の属する課税期間中に登録を受ける場合
消費税のインボイス制度(適格請求書等保存方式)について、いくつか書きかけの記事があったので、そのまま上げておきます(見直す余裕なし)。
2023年4月に国税庁の「消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&A」が改訂されたので(詳細はこちら)、そこで改訂の対象になったQなどについて。
今回のテーマは、免税事業者が令和11 年9月30 日までの日の属する課税期間中に登録を受ける場合の取扱いです。
Table of Contents
1. 経過措置
免税事業者が令和5年10 月1日から令和11 年9月30 日までの日の属する課税期間中において、令和5年10 月1日後に登録を受ける場合には、適格請求書発行事業者の登録申請書に「登録希望日」を記載することで、その登録希望日から課税事業者となる経過措置が設けられています。
ただし、この場合の「登録希望日」は、「提出日から15 日以降の登録を受ける日として事業者が希望する日」を指します。
ちなみに、登録完了日が登録希望日後となった場合であっても、登録希望日に登録を受けたものとみなされます。
2. 経過措置の適用を受ける場合
この経過措置の適用を受ける場合、登録希望日から課税事業者となり、登録を受ける際、課税選択届出書を提出する必要はありません。
また、基準期間の課税売上高にかかわらず、登録日から課税期間の末日までの期間について、消費税の申告が必要になります。
なお、この経過措置の適用を受ける登録日の属する課税期間が令和5年10 月1日を含まない場合、「登録日の属する課税期間の翌課税期間」から「登録日以後2年を経過する日の属する課税期間」までの各課税期間については免税事業者となることはできません。
3. 経過措置の適用を受けない場合
この経過措置の適用を受けない課税期間に登録を受ける場合、原則どおり、課税選択届出書を提出し、課税事業者となる必要があります。
免税事業者が課税事業者となることを選択した課税期間の初日から登録を受けようとする場合は、その課税期間の初日から起算して15 日前の日までに、登録申請書を提出する必要があります。
4. 課税事業者には「登録希望日」等の取扱いがない理由(2023年8月追記)
なるほどなあと思ったのですが、課税事業者には上記の「登録希望日」や「課税期間の初日に遡って登録」という取扱いがない理由について、税務通信(3757号)のWeb座談会で財務省の方が解説されていました。
課税事業者の場合は、(登録の前後で)課税関係が変わらないというのが一つの理由のようです。
逆に免税事業者の場合は、インボイス登録により課税事業者になるので、課税関係が大幅に変わります。例えば、登録日以降の売上を区分したり、棚卸資産の調整が発生したり等々。なので、免税事業者からすれば「その日」を決めてほしいということで、「登録希望日」が必要ということのようです。
個人的には、すごくすっきりしました。
今日はここまでです。
では、では。
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佐和 周(公認会計士・税理士)
現 有限責任 あずさ監査法人、KPMG税理士法人を経て、佐和公認会計士事務所を開設。専門は海外子会社管理・財務DD・国際税務など。東京大学経済学部卒業、英国ケンブリッジ大学経営大学院(Cambridge Judge Business School) 首席修了 (MBA)。詳細なプロフィールはこちら。