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インボイス制度:適格返還請求書の交付義務免除に係る「1万円未満」の判定単位

今週は、消費税のインボイス制度(適格請求書等保存方式)のことを書いてます。

2023年4月に国税庁の「消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&A」が改訂されたので(詳細はこちら)、そこで新たに追加された項目について。

今回は、適格返還請求書の交付義務免除に係る1万円未満の判定単位です。

 

1. 適格返還請求書の交付義務免除

売上げに係る対価の返還等に係る税込価額が1万円未満である場合には、その適格返還請求書の交付義務が免除されます(詳細はこちら)。

問題は、この「1万円未満(の対価返還等)」をどのような単位で判定するのかということです。

2. 「1万円未満」の判定単位

Q&Aでは、「1万円未満」の具体的な判定について、返還した金額や値引き等の対象となる「請求や債権の単位ごとに減額した金額」により判定することとされています。

具体例として挙げられているのは、以下の2つです。

① 500,000円の請求に対し、買手は振込手数料相当額440円減額した499,560円を支払い
(売手は、440円を対価の返還等として処理)
⇒ 1万円未満の対価返還等であり、適格返還請求書の交付義務は免除される

② 400,000円の請求に関し、1商品当たり100円のリベートを後日支払い(合計20,000円)
⇒ 1万円以上の対価返還等であり、適格返還請求書の交付義務は免除されない

何となく請求単位というのはわかりました。

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3. なぜ請求単位なのか

でも、なぜ請求単位なのかというロジックはよくわかりませんでした。

この点、Q&Aでは、まず売上げに係る対価の返還等の意義が解説されています。

売上げに係る対価の返還等とは、事業者の行った課税資産の譲渡等に関し、返品を受け又は値引き若しくは割戻しをしたことにより、売上金額の全部若しくは一部の返還又は当該売上げに係る売掛金等の債権の額の全部若しくは一部の減額を行うことをいいます…。

そして、その続きは以下です。

したがって、このような売上金額の返還や債権の減額の金額が1万円未満であれば、適格返還請求書の交付義務が免除されることとなります。

「したがって」という接続詞の使い方を間違えていなければ、そういう理由なんだと思います。

私の切り取り方が悪いのかもしれないので、ぜひQ&A自体をご覧ください。

4. もう1つ念押し

Q&Aにはもう1つ、注書きで念押しがあります。

想定しているのは、値引き等の金額に「標準税率が適用されたもの」と「軽減税率が適用されたもの」が含まれているという状況です。

こういう場合でも、適用税率ごとの値引き等の金額により判定するのではなく、あくまでも返還した金額や値引き等の対象となる請求や債権の単位ごとの減額金額により判定するそうです。

今日はここまでです。

では、では。

■インボイス制度に関する記事の一覧はこちら

 

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この記事を書いたのは…
佐和 周(公認会計士・税理士)
現 有限責任 あずさ監査法人、KPMG税理士法人を経て、佐和公認会計士事務所を開設。専門は海外子会社管理・財務DD・国際税務など。東京大学経済学部卒業、英国ケンブリッジ大学経営大学院(Cambridge Judge Business School) 首席修了 (MBA)。詳細なプロフィールはこちら

 

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