のれんに関する報告セグメント別情報の開示
引き続きセグメント情報のことを書きます。
今回は、のれんに関する報告セグメント別情報の開示について。
1. のれんに関する報告セグメント別情報の開示
いきなりですが、のれん(または負ののれん)の償却額を計上している場合、財務諸表を作成するために採用した会計処理に基づく数値によって、その償却額及び未償却残高に関する報告セグメント別の内訳を開示する必要があります(セグメント情報の中で開示する形でもOKです)。
セグメント会計基準によると、これらの情報は、財務諸表利用者が企業の報告セグメント別の将来キャッシュ・フローを予測する上で有用な情報ということのようです。
のれんの償却額については、【セグメント情報】の中で開示しておいて、【報告セグメントごとののれんの償却額及び未償却残高に関する情報】のほうでは、「セグメント情報に同様の情報を開示しているため、記載を省略しています」みたいに書いておくパターンが多いでしょうか。セグメント利益とセットで見たいですし。
なお、報告セグメントに配分されていないのれん(または負ののれん)がある場合には、その償却額及び未償却残高に加えて、その内容も記載する必要があります。あんまり見かけないですけど、一応事例はあるみたいですね。
2. 負ののれんの報告セグメント別の概要
もう1つ、連結損益計算書に重要な負ののれんを認識した場合には、当該負ののれんを認識した事象について、その報告セグメント別の概要を開示する必要があります。
イメージは、以下のような感じです。
【報告セグメントごとの負ののれん発生益に関する情報】
…当社が●●●株式会社の株式を取得したことにより、同社を新たに連結子会社といたしました。 これに伴い、「○○○事業」においてXXX百万円の負ののれん発生益を計上しております。
報告セグメントへの配分がなければ、以下のような感じです。
【報告セグメントごとの負ののれん発生益に関する情報】
当連結会計年度より、株式会社●●●の全株式を取得したことに伴い、報告セグメントに配分していない負ののれん発生益XXX百万円を計上しております。
今日はここまでです。
では、では。
佐和 周(公認会計士・税理士)
現 有限責任 あずさ監査法人、KPMG税理士法人を経て、佐和公認会計士事務所を開設。専門は海外子会社管理・財務DD・国際税務など。東京大学経済学部卒業、英国ケンブリッジ大学経営大学院(Cambridge Judge Business School) 首席修了 (MBA)。詳細なプロフィールはこちら。