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内部統制基準・実施基準の改訂(公開草案):実施基準の改訂箇所2/2

今週は、内部統制のことを書いています。

今回は、「財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準並びに財務報告に係る内部統制の評価及び監査に関する実施基準の改訂について(公開草案)」のうち、「財務報告に係る内部統制の評価及び監査に関する実施基準」のほうの改訂箇所について。

長いので2回に分けて淡々と書いてます。前回の「Ⅰ. 内部統制の基本的枠組み」に続いて、今回は主に「Ⅱ. 財務報告に係る内部統制の評価及び報告」(のうち特に「評価の範囲の決定」)に関する改訂箇所です。

 

1. 評価の範囲の決定(財務報告に係る内部統制の評価とその範囲)

「財務報告に係る内部統制の評価とその範囲」の「評価の範囲の決定」の部分は、結構内容が追加されており、これが今回の改訂のメインの部分じゃないかと思います。

評価対象とする重要な事業拠点や業務プロセスを選定する指標について、例示されている「売上高等の概ね2/3」や「売上、売掛金及び棚卸資産の3勘定」を機械的に適用すべきでないという点がとにかく強調されていますが、それ以外の改訂箇所もあるので、順番に書いていきます。

(1) 評価範囲に含まれない期間の考慮

まず、「経営者は、全社的な内部統制の評価を行い、その評価結果を踏まえて、業務プロセスの評価の範囲を決定する」という現行の記述の後に、「この決定の際には、長期間にわたり評価範囲外としてきた特定の事業拠点や業務プロセスについても、評価範囲に含めることの必要性の有無を考慮しなければならない」という記述が追加されています。

要は、評価範囲に含まれない期間の長さを適切に考慮すべきということです。

(2) 評価範囲外の事業拠点や業務プロセスで開示すべき重要な不備が識別された場合の取扱い

また、新たな内容として、評価範囲外の事業拠点または業務プロセスにおいて開示すべき重要な不備が識別された場合には、当該事業拠点または業務プロセスについては、少なくとも当該開示すべき重要な不備が識別された時点を含む会計期間の評価範囲に含めることが適切であるという記述が追加されています。

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(3) 業務プロセスに係る評価の範囲の決定(重要な事業拠点の選定)

ここからは、業務プロセス(決算・財務報告に係る業務プロセスのうち、全社的な観点で評価することが適切と考えられるもの以外)に関する評価範囲の決定手順について。これがメインの部分です。

まず、「① 重要な事業拠点の選定」については、さっぱりしたもの(以下の記述だけ)になっています。

企業が複数の事業拠点を有する場合には、評価対象とする事業拠点を売上高等の重要性により決定する。

(出典:金融庁 「財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準並びに財務報告に係る内部統制の評価及び監査に関する実施基準の改訂について(公開草案)」の公表について (別紙3-2)財務報告に係る内部統制の評価及び監査に関する実施基準Ⅱ(抄)新旧対照表(案) https://www.fsa.go.jp/news/r4/sonota/20221215.html)

ただ、その注書き((注1)と(注2))には、現行とだいたい同じような内容が残っています。

微妙に変わっているのは、以下のような内容でしょうか。

  • 「事業拠点を選定する指標」として、売上高に言及する前段階として、財務報告に対する金額的及び質的影響並びにその発生可能性を考慮すべきことが明示された
  • 「事業拠点を選定する指標」のうち、売上高以外のものとして、総資産や税引前利益に言及された
  • (全社的な内部統制の評価が良好であれば、例えば、連結ベースの売上高等の一定割合(概ね2/3程度)とする考え方や、総資産、税引前利益等の一定割合とする考え方もある一方で、)全社的な内部統制のうち、良好でない項目がある場合には、それに関連する事業拠点を評価範囲に含める必要があることが明示された

もとの実施基準をあんまりちゃんと読んでないので、改訂前は別の場所に書いてあったのかもしれませんけど。

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(4) 業務プロセスに係る評価の範囲の決定(評価対象とする業務プロセスの識別)

もう1つ、「② 評価対象とする業務プロセスの識別」については、企業の事業目的に大きく関わる勘定科目に至る業務プロセスは、原則としてその全てを評価の対象とします。

この点は、現行と変わっていませんが、「企業の事業目的に大きく関わる勘定科目」に関する例示(一般的な事業会社の場合、原則として、売上、売掛金及び棚卸資産)は無くなっています。といっても、消滅したわけではなく、注書き((注1))に移動しただけですけど。

同じく、棚卸資産に至る業務プロセス(販売プロセス・在庫管理プロセス・期末の棚卸プロセス・購入プロセス・原価計算プロセス等)に関する記述も注書きに移っています。

また、①で選定された事業拠点及びそれ以外の事業拠点について、財務報告への影響を勘案して、重要性の大きい業務プロセスについては、個別に評価対象に追加しますが、その業務プロセスの選定の際の留意点が追加されています(具体的には、「リスクが大きい取引を行っている事業又は業務に係る業務プロセス」の例として、以下が追加)。

複雑又は不安定な権限や職責及び指揮・命令の系統(例えば、海外に所在する事業拠点、企業結合直後の事業拠点、中核的事業でない事業を手掛ける独立性の高い事業拠点)の下での事業又は業務

(出典:金融庁 「財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準並びに財務報告に係る内部統制の評価及び監査に関する実施基準の改訂について(公開草案)」の公表について (別紙3-2)財務報告に係る内部統制の評価及び監査に関する実施基準Ⅱ(抄)新旧対照表(案) https://www.fsa.go.jp/news/r4/sonota/20221215.html)

これは、実際にそうだなあと思います。ちゃんとやろうとすると、大変でしょうけど。

また、その「リスク」に関して、以下のような内容も追加されていて、ここでも「海外」への言及があります。

リスクについては、例えば、以下のような状況において、発生又は変化する可能性がある。
・ 規制環境や経営環境の変化による競争力の変化
・ 新規雇用者
・ 情報システムの重要な変更
・ 事業の大幅で急速な拡大
・ 生産プロセス及び情報システムへの新技術の導入
・ 新たなビジネスモデルや新規事業の採用又は新製品の販売開始
・ リストラクチャリング
海外事業の拡大又は買収
・ 新しい会計基準の適用や会計基準の改訂

(出典:同上。下線は追加)

仕事柄、海外子会社が関係する開示すべき重要な不備を検索することがありますが、結構出てくるもんなあ。

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2. 監査人との協議

「財務報告に係る内部統制の評価とその範囲」の「監査人との協議」の部分は、少しだけ具体的な内容が追加されています。

まず、「① 評価の計画段階における協議」として、監査人との協議は、経営者が評価範囲を決定するまでに実施することが適切とされています。

また、「② 状況の変化等があった場合の協議」としては、経営者は、評価の計画段階で把握した事象や状況が変化した場合、あるいは評価の過程で新たな事実を発見した場合には、評価範囲を検討し、監査人と協議することが適切とされています。

3. 財務報告に係る内部統制の評価の方法

上記のほか、「財務報告に係る内部統制の評価の方法」の「業務プロセスに係る内部統制の評価」のうち、「⑤ ITを利用した内部統制の評価」についてもいくつか記述が追加されていますが、これについては、精神衛生上、私は読まないこととします(必要に迫られるまで)。

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4. 財務報告に係る内部統制の監査

ちなみに、「Ⅲ. 財務報告に係る内部統制の監査」のセクションに関しては、あまり改訂箇所がありません

「監査計画と評価範囲の検討」の「評価範囲の妥当性の検討」について、「③ 経営者との協議」に以下のような内容が追加されている程度かと思います。

  • 監査人は、経営者による内部統制の評価範囲の決定前後に、当該範囲を決定した方法及びその根拠等について、必要に応じて、財務諸表監査の実施過程において入手している監査証拠も活用しながら、経営者と協議を行っておくことが適切
  • 一方で、監査人は、独立監査人としての独立性の確保を図ることが求められる
  • 評価範囲の決定は経営者が行うものであり、当該協議は、あくまで監査人による指摘を含む指導的機能の一環であることに留意が必要

なお、「経営者による評価の計画段階における協議」と「状況の変化などがあった場合の協議」については、上記2.とほぼ同じです。

今日はここまでです。

では、では。

この記事を書いたのは…
佐和 周(公認会計士・税理士)
現 有限責任 あずさ監査法人、KPMG税理士法人を経て、佐和公認会計士事務所を開設。専門は海外子会社管理・財務DD・国際税務など。東京大学経済学部卒業、英国ケンブリッジ大学経営大学院(Cambridge Judge Business School) 首席修了 (MBA)。詳細なプロフィールはこちら

 

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