オススメの書籍紹介:『電子帳簿保存法の制度と実務』
このブログでは、不定期でオススメの本をご紹介しています。
最近仕事が忙しくて、あんまり紹介記事を書けてなかったので、その間に読んだ本について、ちょっとずつ書いていきたいと思います。
Table of Contents
今回は『電子帳簿保存法の制度と実務』です
今回は、『令和3年度改正に対応 電子帳簿保存法の制度と実務』(PwC税理士法人著)という本です。
この本は、電子帳簿保存法関係の調べ物をしているときに見つけました。
まさかPwCさんがこんな本を書いてるとは…
普通にオススメです
この本、普通にいい本です。
内容的にも難しくもないですし、何より信頼できます。
電子帳簿保存法に関しては、普通の本を見つけるのが難しい印象だったので(あくまでも個人的にそう感じただけ)、これはいいんじゃないかと思います。
経理書類に関する保存義務の整理
まずいいなと思ったのは、第2章の第1節「経理書類に関する保存の義務」です。
ここでは、さまざまな経理書類の保存義務を整理してくれています。
法人税法とか、消費税法(インボイス制度導入後を含む)とか、関税法とか。
電子帳簿保存法への対応は、そもそも「何が電子化の対象になるのか」が出発点になるので、こういう知識は必要だなと思います。
電子帳簿保存法の構成
次は、第2章の第2節「電子帳簿保存法の全体像」というところです。
ここでは、電子帳簿保存法の構成を説明してくれています。
超当然のことなのですが、「第何条に何が書いてあるか」は知っておいたほうがいいです。
電子帳簿保存法はさっぱり書いてあって、第4条が帳簿のデータ保存・書類のデータ保存・書類のスキャナ保存の話に分かれてるとか、第7条が電子取引のデータ保存の話だとか、そういう超基本的なことです(笑)
経理業務のデジタル化取り組み事例
個人的に面白かったのは、第10章の「経理業務のデジタル化取り組み事例」です。
事例は3つ挙げられていますが、1つ目の「従業員の立替経費精算の電子化(スキャナ保存制度)」は、私が実際に経験した事例と全く同じでした。
2つ目の「請求書の支払業務の電子化(スキャナ保存制度・電子取引)」も、私が知っているケースに近かったのですが、気づいていなかったポイントも書いてあって、勉強になりました。
私は、電子帳簿保存法の関係は、おまけ程度にしか対応していないですが、たぶん汎用性のある事例なんだと思います。
残り1つの事例も、なるほどなあと思わされるものだったので、この章を読むだけでも価値があるかも。
Coffee Break
あとは、Coffee Breakというコラムみたいなものもあって、それもよかったです。
例えば、訂正削除の確認ができる等のシステムについて、電子帳簿とスキャナ保存で要件が違うとか、スキャナ保存制度の相互牽制要件の廃止自体は要件緩和であるものの、別の理由でチェック体制の構築が必要だとか、「うん、うん」と思わされるような要素がありました。
最後に
ちょっと興味を持ったのは、PwCさんで、こういうテーマに詳しい人たちって、どんな人たちなんだろうなということです。
私の知る大手税理士法人の人たちは、電子帳簿保存法なんか全く興味無さそうなので。
それはそれとして、繰り返しになりますが、この本は普通にいい本です。
そして、電子帳簿保存法の世界に限って言うなら、超いい本なので、そういう知識を必要としている人たちにはオススメです。
今日はここまでです。
では、では。
佐和 周(公認会計士・税理士)
現 有限責任 あずさ監査法人、KPMG税理士法人を経て、佐和公認会計士事務所を開設。専門は海外子会社管理・財務DD・国際税務など。東京大学経済学部卒業、英国ケンブリッジ大学経営大学院(Cambridge Judge Business School) 首席修了 (MBA)。詳細なプロフィールはこちら。