時価算定会計基準における「時価」とは(会計が好きな人向け)
今日も会計のことを書きます。
時価算定会計基準における「時価」について。
Table of Contents
1. 時価算定会計基準における「時価」とは
時価算定会計基準における「時価」とは、以下をいいます。
資産についていえば、基本的な考え方は「売ったときの入金額」です。
そして、「市場参加者」とは、「秩序ある取引」とは、みたいな定義については、別に抽象的な規定があります。
その他、「主要な市場」とは、「最も有利な市場」とは、「活発な市場」とは、みたいなのも。
こういうのが好きな人はぜひ突き詰めてください。
2. 「時価」に関する基本的な考え方
定義はちょっとアレなのですが、時価算定会計基準では、「時価」に関する基本的な考え方が4つ示されています。
まず、ポイントだけ挙げると以下のとおりです。
(2) 時価は、出口価格であり、入口価格ではない
(3) 評価技法では、観察可能なインプットを最大限利用し、観察できないインプットの利用を最小限にする
(4) 時価を算定する際の仮定には、資産の保有や負債の決済または履行に関する企業の意図は反映しない
(1) 市場が基礎
(1)については、時価の算定は、あくまでも市場を基礎としたものだということです。
逆にいうと、対象となる企業に固有のものではありません。
なので、ある企業がその資産を持っていれば、めちゃくちゃキャッシュ・フローを稼げるとしても、時価には市場参加者の平均的な期待しか反映されません。
(2) 出口価格
(2)については、「時価」の定義は、資産について言うなら、「算定日において市場参加者間で秩序ある取引が行われると想定した場合の、当該取引における資産の売却によって受け取る価格」です。
つまり、「資産の売却によって受け取る価格」という意味で、「出口価格」です。
これは、逆にいうと、「資産を取得するために支払う価格」である「入口価格」ではないということです。
(3) 観察可能なインプットを最大限利用
上記のとおり、時価は出口価格ですが、それが直接観察できない場合があります。
この場合、評価技法を使います。例えば、DCFとか。
(3)については、同一の資産(または負債の価格)が観察できない場合に用いる評価技法には、関連性のある観察可能なインプットを最大限利用し、観察できないインプットの利用を最小限にするという意味合いです。
インプット自体についてはまた書きますが、要は「仮定」です。
インプットについては、こちらをご覧ください。
できるだけ観察可能なインプット、言い換えると、市場データに基づく客観的なインプットを使いましょうということですね。
(4) 企業の意図は反映しない
(4)については、時価算定の際には、市場参加者が時価を算定する際の仮定を用います。
逆にいうと、資産の保有や負債の決済または履行に関する企業の意図は反映しないということです。
これは上記(1)にも関連しますが、適用指針では、仮に市場における通常の日次取引高では売却できないほどに金融商品を大量に保有している場合であっても、その金融商品を一度に売却する際に生じる価格の低下についての調整を行わないこととしています。
これはあくまでも企業の意図であって、市場参加者が考慮していることではない、そんな感じの話です。
今日はここまでです。
では、では。
佐和 周(公認会計士・税理士)
現 有限責任 あずさ監査法人、KPMG税理士法人を経て、佐和公認会計士事務所を開設。専門は海外子会社管理・財務DD・国際税務など。東京大学経済学部卒業、英国ケンブリッジ大学経営大学院(Cambridge Judge Business School) 首席修了 (MBA)。詳細なプロフィールはこちら。