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グローバル・ミニマム課税

グローバル・ミニマム課税:税引後当期純損益金額計算時のGAAP差異の取扱い

いまは不定期でグローバル・ミニマム課税について書いています(全体の構成はこちら)。

今回は、個別計算所得等の金額の計算という文脈で、税引後当期純損益金額計算時のGAAP差異の取扱いについて。

 

1. 税引後当期純損益金額

前回書いたとおり、構成会社等の「税引後当期純損益金額」は、基本的には最終親会社等財務会計基準に基づき計算される当期純利益金額または当期純損失金額を意味します。

したがって、日本側(最終親会社等)が日本基準の場合、日本基準(=最終親会社等財務会計基準)に基づいて計算した海外子会社(=構成会社等)の当期純損益ということです。

2. GAAP差異の取扱い

海外子会社のローカルGAAPを使っている場合、(少なくとも建前としては)パッケージ(現地側)か連結のほうの個別修正(日本側)でちょこちょこ調整しているはずなので、そういうもの(その会社等に帰せられる部分の金額)を税引後当期純損益金額に反映する(要は再計算する)ということですね。めんどくさ。

こういうの考えると、もう向こうでパッケージを直してもらったほうが楽なんでしょうね。

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3. 日本基準の場合(実務対応報告第18号)

ただ、実際には、以下の通達(18-1-26)があります。

構成会社等の税引後当期純損益金額は、最終親会社財務会計基準に基づき計算するのであるから、構成会社等の損益計算書が最終親会社財務会計基準と異なる会計処理の基準により作成されている場合であっても、最終親会社財務会計基準において当該損益計算書を用いて連結等財務諸表を作成することが認められているときには、その認められる限りにおいて、当該構成会社等の税引後当期純損益金額の計算につき、最終親会社財務会計基準に基づき再計算することを要しない。

日本側(最終親会社等)が日本基準、海外子会社側(構成会社等)がIFRSであることを前提とすると、上記のとおり、海外子会社の税引後当期純損益金額は、日本基準(=最終親会社財務会計基準)に基づいて再計算するのが原則です。

一方で、会計上は、実務対応報告第18号があるので、海外子会社がIFRSであれば、一定の調整だけしておけば連結できます(完全な置換えは不要です)。

このようなケースは、上記通達の「最終親会社財務会計基準において当該損益計算書を用いて連結等財務諸表を作成することが認められているとき」に該当して、税引後当期純損益金額の計算上も、日本基準に基づく再計算までは求められないという感じだと思います。

ちなみに、このテーマについては、個人的に目を瞑りたい要素がいくつもあるので、これ以上は書きません。

皆さんの健闘を祈ります。

今回はここまでです。

では、では。

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この記事を書いたのは…
佐和 周(公認会計士・税理士)
現 有限責任 あずさ監査法人、KPMG税理士法人を経て、佐和公認会計士事務所を開設。専門は海外子会社管理・財務DD・国際税務など。社外監査役(東証プライム&スタンダード上場企業)。東京大学経済学部卒業、英国ケンブリッジ大学経営大学院(Cambridge Judge Business School) 首席修了 (MBA)。詳細なプロフィールはこちら

 

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