ドローン・LED・足場などのレンタルによる節税スキームがアウトに(令和4年度与党税制改正大綱)
暇なときに令和4年度税制改正見込みのことを書いています。
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令和4年度与党税制改正大綱
少し前に令和4年度与党税制改正大綱が公表されました(こちら)。
今日は、改正見込み事項のうち、個人的に興味を持ったものについて書きます。
ドローンなどを使った節税スキームへの対応
以下の改正見込事項は、要は少額資産などの範囲から「貸付けの用に供した資産」を除外するという改正ですが、ドローンなどを使った節税スキームへの対応と説明されています。
少額の減価償却資産の取得価額の損金算入制度について、対象資産から、取得価額が10万円未満の減価償却資産のうち貸付け(主要な事業として行われるものを除く。)の用に供したものを除外する(所得税についても同様とする。)。
一括償却資産の損金算入制度について、対象資産から貸付け(主要な事業として行われるものを除く。)の用に供した資産を除外する(所得税についても同様とする。)。
中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例について、対象資産から貸付け(主要な事業として行われるものを除く。)の用に供した資産を除外した上、その適用期限を2年延長する(所得税についても同様とする。)。
ちなみに、「主要な事業として行われるもの」が除外されるのは、リース会社なんかが本業のリース事業として貸付けを行うのはセーフ(規制対象外)という意味合いなんですね。
結構よくある節税スキームらしい
個人的には、最初、へぇーとしか思っていませんでした。
でも、ちょっと検索してみたら、この節税スキームを紹介してるウェブサイトが数多くありました。税制改正で対応するくらいだから、当然なんでしょうけど。
しかも、ドローン以外にも、LEDの照明とか、建設用の足場とか、色々あって、俄然興味を持ちました。企業がいきなり足場とかに投資したらと想像すると、結構ウケる。
よく知らないのですが、ざっと見ると、節税効果といっても恒久的なものではなく、単にタイミングの問題ですよね。
ドローンなどを取得して、早期償却で損金算入メリットを取る一方で、そのドローンなどを貸し付けて、徐々にレンタル料を回収する感じなので。
何がそんなに魅力的なんだろう
節税効果がタイミングの問題に過ぎないなら、法人にはあんまり節税メリットは無さそうですね。個人向けなんでしょうか。
法人でも、欠損になるほど業績変動が激しいところや、期末間際で所得を調整したいところには使えるスキームなのかもしれませんが。
あるいは、節税効果よりも、利回り自体が魅力的なのかな。
レンタル料の回収リスクは負うわけで、もちろん現物は取り返せるかもしれないですが、素人目にはなんか微妙な感じがしました。
まあ、プロにしかわからない、もっと深遠な世界があるんでしょうね。レンタル期間終了後は、オフィスでドローンを飛ばしたり、本社の周りで足場を組み立てたりできそうだし。
同じ税務なのに、全然知らない世界で、色々あるもんだなあと感慨深かったです。
今日はここまでです。
では、では。
佐和 周(公認会計士・税理士)
現 有限責任 あずさ監査法人、KPMG税理士法人を経て、佐和公認会計士事務所を開設。専門は海外子会社管理・財務DD・国際税務など。東京大学経済学部卒業、英国ケンブリッジ大学経営大学院(Cambridge Judge Business School) 首席修了 (MBA)。詳細なプロフィールはこちら。